喉が少し痛いだけで「風邪薬」はNG? 市販薬の“危険な選び方”とは【薬剤師に聞く】
「どの薬が効くのか分からない」「症状が軽い」などの際に複数の成分が入った「総合感冒薬」を服用した場合、体にどのような影響を及ぼすのでしょうか。薬剤師に聞きました。

秋は朝晩と日中との寒暖差が大きく、風邪をひきやすい季節です。最寄りのドラッグストアでは、さまざまな種類の風邪薬がありますが、どれを買うべきか悩む人も多いと思います。
「どの薬が効くのか分からない」「症状が軽い」などの際に複数の成分が入った「総合感冒薬」を服用した場合、体にどのような影響を及ぼすのでしょうか。風邪薬を購入するときの適切な選び方や服用時の注意点などについて、薬剤師の真部眞澄さんに聞きました。
余分な成分の摂取で生じるリスク
Q.例えば「喉が少し痛いだけ」というときに、さまざまな成分が入った「総合感冒薬」を飲むと、体にどのような無駄な負担がかかるのでしょうか。
真部さん「総合感冒薬は熱、喉の痛みや鼻水、せきなど複数の症状をまんべんなく抑えるために、3種類から5種類以上の成分がブレンドされています。今回の場合ですと、喉以外の症状を抑える不要な成分まで服用することになるので注意が必要です。
具体的なリスクを挙げると、まず鼻水やアレルギーに効く抗ヒスタミン成分は、強い眠気や喉の渇き、便秘、集中力の低下などの副作用があります。せき止めの成分には、便秘や尿が出にくくなる排尿障害が起こるリスクがあるため注意が必要です。こちらは中年から高齢の男性に多いですね。
去痰の成分には食欲不振などの消化器症状も見られます。頭痛に効く無水カフェインや鼻詰まりに効くプソイドエフェドリンなどは血管収縮作用があり、血圧の上昇や動悸(どうき)、不眠などを引き起こすかもしれません。
このような不要な成分による副作用を防ぐために、症状に合わせた薬選びをしましょう」
初期症状に合った薬を
Q.「喉の痛み」「鼻水・鼻詰まり」「熱・頭痛」など、初期症状に応じた市販薬の賢い選び方と、薬剤師に相談する際の伝え方のコツについて教えてください。
真部さん「最近はそれぞれの症状に特化した市販薬が販売されています。喉の痛みの場合は、炎症を抑えるトラネキサム酸が含まれる喉専用の市販薬や、うがい薬がおすすめです。こちらは眠気などの副作用の心配もありません。
鼻水の場合は、第2世代の抗ヒスタミン薬ロラタジンや、フェキソフェナジンを含むものがよいでしょう。日中の眠気がかなり抑えられます。鼻詰まりには血管収縮剤のプソイドエフェドリンなどを含むものがよいですが、飲み薬は血圧上昇のリスクがあり、点鼻薬の場合は薬剤性鼻炎の危険があるので使い過ぎに注意してください。
発熱・頭痛には解熱鎮痛剤のアセトアミノフェン、ロキソプロフェン、イブプロフェンなどが含まれるものがおすすめです。これらは解熱鎮痛成分のみ、または胃の粘膜を保護する成分がプラスされた市販薬を選んでください。
注意点ですが、インフルエンザにかかったと思われるときは、まずはアセトアミノフェンを選ぶことです。インフルエンザ脳症を引き起こす可能性のあるロキソプロフェンやイブプロフェンなどは避けてください。15歳未満はこれらの市販薬を服用できないため心配ありませんが、15歳以上でも発症例があるため、アセトアミノフェンを第一選択にしてください。
薬剤師に相談する際は『いつからどのような症状が続いているか』『薬のアレルギーはあるか』などをできるだけ詳しく説明しましょう。さらに『受験生である』『車を日常的に運転する』などの自身の状況を伝えれば、患者さんが困ることがないように、適切な薬を勧めてくれると思います」
薬と一緒に飲んではいけない飲み物とは?
Q.市販の風邪薬を飲む際、栄養ドリンクやコーヒー(カフェイン)と一緒に飲むと起きてしまう「カフェイン過剰や胃荒れ」の危険性について教えてください。
真部さん「市販の風邪薬を見ていただくと、必ずと言っていいほど無水カフェインが入っています。水分を除いた純粋なカフェインで、頭痛を和らげたり、副作用の眠気を抑えるのに効果的ですが、カフェインを含む栄養ドリンクやコーヒー、特にエナジードリンクと一緒に飲むとカフェインの過剰摂取になることがあるので注意が必要です。なぜなら、大人の1日のカフェイン摂取目安(400mg)を超えてしまうことがあるからです。
過剰摂取になると動悸や手足の震え、不眠、不安感、頭痛、めまいなどが起こる恐れがあります。さらに重症の場合は嘔吐(おうと)、過呼吸、パニック状態など急性カフェイン中毒のような状態となってしまうので、気を付けてください。
風邪をひいているときは免疫力が下がっているため、胃の粘膜も弱くなっています。その状態でカフェインを多く摂取すると、胃に大きな負担がかかるでしょう。そもそもカフェインには胃酸の分泌を促進する作用があるため、胃酸が自分の胃を攻撃してしまいます。
また、ロキソニンやイブプロフェンなどの解熱鎮痛剤が含まれる風邪薬は、胃荒れを起こしやすいため、よりカフェインの刺激を受けやすいです。そのため、風邪薬は水またはぬるま湯で飲むようにし、風邪薬を服用中はカフェインを含む飲み物は控えましょう」
* * *
何となく総合感冒薬を飲むと、余計な副作用のリスクにさらされることが分かりました。できるだけ症状に合わせた風邪薬を選び、水またはぬるま湯で飲みましょう。薬の購入時に薬剤師に相談することも忘れないようにしましょう。
(オトナンサー編集部)







コメント