学校へのスマホ持ち込み許可へ? 「ネット依存」になる子とならない子の違いとは
子どもに携帯電話やスマホを持たせると「ネット依存」になるとされていますが、一方で、ネット依存に陥らない子どももいます。何が違うのでしょうか。

今年2月、文部科学省が、小中学校への携帯電話やスマホの持ち込み禁止を見直す方向で検討すると発表し、大阪府は先行して、公立小中学校内への携帯電話やスマホの持ち込みを認める際のガイドラインを、府内の市町村教委に通知しました。そうした中で懸念されるのが、SNSやスマホゲームなどをやめられなくなる「ネット依存」の拡大です。学校内への持ち込みに反対する意見でも、ネット依存拡大への懸念がありました。
一方で、全くネット依存にならず、ほどよい距離感を保って使いこなしている子どももいます。ネット依存になる子とならない子は、何が違うのでしょうか。青少年のインターネット利用などに詳しい、作家・ジャーナリストの石川結貴さんが解説します。
中高生のネット依存は2倍に増加
一般的に使われている「ネット依存」とは、「ネットをやめたくてもやめられない(制御不能)」「ネットから離れることに不安や恐怖を感じる(禁断症状)」「ネットを使いすぎて実生活に多大な影響が出たり、心身の健康状態が悪化したりしている(実生活のトラブル)」「現実逃避や不快感から逃れる目的でネットを使う(現実逃避)」などの問題が複数生じている状態を指します。
過度なネット利用で、昼夜逆転や睡眠障害、暴力や暴言、不登校といった問題が起きている状態を「ネット依存」と考えると分かりやすいでしょう。多くの子どもは「いや、自分はそこまでひどくないよ」「まだ全然大丈夫」などと思っているかもしれません。しかし、実際にはネット依存は身近な問題になりつつあります。
厚生労働省研究班の調査(2018年8月公表)では、「病的なインターネット利用が疑われる」中高校生は全国で93万人、7人に1人と推計されています。同様の調査は5年前にも行われましたが、このときは推計51万人でした。たった5年でネット依存が疑われる子どもが2倍近くにも増えているわけです。
この問題の背景はいくつか考えられますが、そのうちの一つが「スマホの普及」でしょう。「いつでもどこでも使える」「無料のアプリやコンテンツがたくさんある」「楽しく刺激的」「簡単で便利」、こうした特性を持っているスマホは「使い始めたらやめられない」という状況を作りやすく、自分ではあまり意識していなくても、「楽しくて便利でタダなんだから、使って当然」という心理になっていきます。
「当然」のものがないとき、私たちはどんな気持ちになるでしょうか。例えば、「あって当然」の電気が停電で使えなかったら、不安になり、怖くなり、一刻も早く使いたい、と焦りますよね。これをネットやスマホに置き換えると、「ネットから離れることが不安」「スマホがないと怖い」という意識になります。こうした不安感が高じると、「やめたくてもやめられない」という依存状態になる可能性があります。
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