コロナになりそうとLINEで…休校中に子どもの「SNSいじめ」増加? 対処法を解説【#コロナとどう暮らす】
SNS上の誹謗中傷が問題となっていますが、SNS上でのトラブルは、子どもたちの間にも広がっています。その実態について、専門家が解説します。
女性プロレスラー・木村花さんの死をきっかけに関心が高まっている、SNS上の「誹謗(ひぼう)中傷」。迅速な加害者特定のための法整備などが検討されていますが、いまや、SNS上でのトラブルは大人だけでなく、コミュニケーション手段の一つとしてSNSを利用する子どもたちの間にも広がっています。
実際、新型コロナウイルスの影響による休校期間中、子どもが「SNS上でいじめを受けた」「グループLINE内で、クラスメートから悪口を言われた」ケースもあり、「子どもが相談してくれない」「どう対応すればいいのか分からない」などの悩みを抱える親は少なくないようです。
子どもの間で起こっている「SNSいじめ」の実態について、家族や教育、子どものインターネット問題に詳しい、ジャーナリストの石川結貴さんが解説します。
実態見えづらく、泣き寝入りも
子どもにとってのSNSは、友達関係を保つための重要な「場所」で、SNSでの交流や情報が仲間意識を強めたり、互いに共感し合うことでより深い友情が育まれたりします。一方で、「みんな一緒」という同調圧力や未熟なコミュニケーションによる行き違いも起きやすく、仲間と違うことを言ったり、その場のノリに合わせなかったりしただけで、いじめや仲間外れなどの問題につながることもあります。
子ども間のSNSいじめには、いくつかの特徴があります。まず、同級生や部活動の仲間など「実生活の関係性」から起きやすいこと。加害者の特定は容易なので、大人同士のSNSトラブルにありがちな「不特定多数からの誹謗中傷」「発信者の特定が困難」などの問題とは性質が違います。
お互いが顔見知りの場合は、実際の体形や性格などがいじめの攻撃材料になりがちです。被害者からすると、もともとコンプレックスだった点を嘲笑されると、深刻なダメージを受けてしまいます。
次に、加害者との関係を完全に断ち切るのが難しいこと。相手が同級生の場合は、授業中やホームルームの時間は同じ空間にいることが避けられません。こうした事情から、被害者の子どもは親や先生に相談することをためらいます。
実際、私の取材では、「大人に話して、もっといじめがひどくなったら困る」「別のSNSグループにもうわさが広がりそう」といった不安の声が多いものです。子ども自身が被害を訴えられないため、周囲の大人にはいじめの実態が見えず、事態がより悪化する場合もあります。
さらに、親が子どものSNSいじめを把握してからも問題が起きがちです。加害者の子どもだけでなく、相手の保護者や学校側との話し合いが必要になりますが、非協力的だったり、開き直られたりするケースもあります。被害者の子どもがいじめに悩み、SNSのアカウントやアプリを削除すると、いざ話し合いとなっても「証拠」がなく、残念ながら泣き寝入りするケースもあるのです。
コロナに絡めたいじめも…
新型コロナウイルスによる休校が長期化したこともあり、子ども同士のコミュニケーション手段としてSNSが多用されました。そのためか、私のところにも、SNSいじめの被害相談が今までになく寄せられています。特に目立ったのが「コロナに関連付けたいじめ」です。
例えば、持病のある女子生徒はクラスのグループLINEで「コロナになりそうな子」と名指しされ、「近づいたら危ない」「隔離」などと中傷されていました。また、友達が少なめの男子生徒は、「最初から“密”になる人がいない」とやゆされ、「ずっと、ぼっち(ひとりぼっち)でいろ」とひどい言葉を浴びせられています。
ささいな話題が中傷に発展したケースもあります。
ある中学生のグループトークでは、「○○は△△に似ている」という話題で盛り上がっていました。最初は「お笑い芸人の顔がパンダに似ている」といった内容でしたが、次第に学校内の個人名を挙げるようになり、「○○はヒキガエル」「○○はゲロ」とエスカレート。名前を挙げられていることを知った女子生徒はショックを受け、母親とともに相手側に抗議しました。ところが、先方の保護者は「ちょっとした悪ふざけ」だと言い、まともに取り合ってくれなかったそうです。
休校明けは、多くの学校で午前と午後に分かれる「分散登校」が実施されています。3密回避やソーシャルディスタンスが求められる中、それにこじつけたいじめも起きています。SNSに「A子が午前に登校するから、午後の人は教室を除菌しないとヤバイ」と書き込んだり、「飛沫(ひまつ)が怖いからしゃべらない」というこじつけの理由で、特定の子を集団で無視したりするなど、悪質ないじめにつながっています。
もし、わが子がこのようなSNSいじめの被害に遭ってしまったら、親はどうすればよいのでしょうか。
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