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利用長時間化する「ネット」とどう付き合う? 依存の背景や情報との接し方は?

在宅時間が長いとつい、SNSやネットニュースなどを閲覧してしまいますが、ネガティブな情報が多く不安にさせられることがあります。うまく付き合うコツはあるのでしょうか。

ネットに依存しないためには?
ネットに依存しないためには?

 新型コロナウイルスの影響で、在宅機会が増えた人が多いと思います。そこでつい、スマートフォンやパソコンで、SNS、動画投稿サイト、ネットニュースを長時間閲覧してしまう人もいるかもしれませんが、最近はネガティブな情報も多く、不安にさせられることがあります。新型コロナウイルスの流行を機に、インターネットとの付き合い方を見直してみるのもいいかもしれません。

 ネットに依存しないためのコツはあるのでしょうか。ネットに依存する背景やネガティブな情報に対する接し方などについて、インターネット問題に詳しい、作家でジャーナリストの石川結貴さんが解説します。

「自信喪失」「将来不安」が背景に

 人は「何もしない」という状況にストレスを感じ、無意識に何かをしたくなります。例えば、行列に並ぶとき、何もしないでただ立っているよりも周囲の景色を見たり、飲み物を飲んだり、スマホを使い続けたりします。「気を紛らわす」という言葉があるように、何かをすることで「行列に並んでいる=待たなくてはならない」というストレスを避けようとするわけです。

 現在は外出自粛や移動制限など、特にストレスの多い状況にあります。コロナは「見えない敵」などと表現され、予防や治療、今後の社会生活への不安を感じている人も多いでしょう。いわば、先の見えない行列に並んでいるようなものですから、ネットを閲覧したり、SNSで情報発信したりして気を紛らわそうとするのは自然な行為と言えます。

 ネット依存は「若者の問題」と考えられがちですが、私が取材した範囲では、専業主婦やリタイア後のシニア層にも広がっていました。特に多いのが、ネットゲーム(オンラインゲーム)依存で、背景には「孤立感」「自己評価願望」などがあります。

 専業主婦やシニア層は在宅時間が長く、人間関係も狭くなりがちです。家庭を中心に生活すると社会的な評価を得られにくく、孤独や孤立に悩むことがあります。そのため、ゲームを通じて誰かとつながったり、プレーヤーとしての存在価値を認めてもらったりすると、一気にハマりやすいのです。

 現在は専業主婦やシニア層に限らず、多くの人が「ステイホーム」中です。会社員や学生など、今まで外でフル活動していた人にとっては、時間の使い方や人との関わり方が違ってきています。慣れない生活に孤立感を覚えたり、自分の存在価値を見失いそうになったりしている人も少なくないでしょう。

 ネット依存の背景には、自信喪失や人間関係のつまずき、将来不安などがあると言われています。「現実がつらい」「努力してもうまくいかない」、だから「ネットで楽しいことを見つけてイヤなことを忘れたい」、そういう逃避がネット依存の原因になる可能性があることを考えると、今はこうした問題が深刻化しやすいと言えます。

 SNSやゲーム、動画などに没頭してストレスを発散したくなるのは自然なことですが、「やめようと思ってもやめられない」状況になったら要注意です。ネット依存では「コントールできない」ことがハイリスクの一つに挙げられているからです。

「睡眠時間を削ってもゲームを続ける」「食事をしながらも動画視聴をやめられない」などの状況にある人は、なるべく早い段階で自己コントロールの方法を見つけましょう。例えば、iPhoneのスクリーンタイムなどの「機能制限」を利用し、1日の利用時間をチェックしたり、画面をオフにする時間設定をしたりします。

 また、「夜はスマホをベッドサイドに置かない」「食事のときはSNSをチェックしない」「動画の連続再生機能をオフにする」など、物理的に「ネット断ち」をする方法を試してください。

ネガティブ情報に踊らされないために

 今の時期、ネットを閲覧すると新型コロナウイルスに関して、不安をあおるような情報や他者同士の対立を強調するような情報など、どうしてもネガティブな情報が多く目に入ります。

 不安やストレスから逃れたいのに、そういう情報にかえって意識が向いてしまうのは誰でも起こり得ることです。例えば、「マスク」というニュースに接したら、マスクの販売状況や政府のマスク支給への批判など、次から次へと情報を確認したくなります。

 仮にネガティブな情報だったとしても、自分と同じように不安や怒りを訴える人がいることで、一時的な安心感を得られるからです。このように、一見ネガティブな情報でも「救い」になる部分はあるわけで、何がなんでも避けようとする必要はありません。

 一方で、「But=しかし、でも」という視点を忘れないようにしましょう。例えば、「トイレットペーパーがなくなる」という情報が出回れば当然不安になりますが、「でも、ウォシュレットで済む場合もある」などと意識を切り替えてみます。

 また、「一つはすべてではない」という考え方も大切です。情報がネガティブなものであるほどインパクトがあるため、どうしても「もう終わりだ」「絶対に無理だ」などと思い込みやすいものです。しかし、長い歴史を振り返れば、戦争や大災害、疫病の流行など多くの困難がありながらも、人はなんとか乗り越えて今に至っているわけです。

 思い込みや決め付けだけで判断せず、自分の状況を違う角度から見てみたり、身近にできることを探したりすることで気持ちが落ち着くことがあるはずです。

(文/構成・オトナンサー編集部)

石川結貴(いしかわ・ゆうき)

作家・ジャーナリスト

家族・教育問題、児童虐待、青少年のインターネット利用などをテーマに豊富な取材実績を持つ。短編小説集「小さな花が咲いた日」は7年連続で中学・高校入試問題に採用されている。最新刊「ルポ 居所不明児童~消えた子どもたち」では、児童虐待や貧困問題を抱えたまま放置される子どもの現状を報告した。出版以外にも新聞、雑誌への寄稿、「あさイチ」「報道ステーション」など数多くのテレビ番組に出演。2013年には「第61回日本PTA全国研究大会」の講演者に選出された。2015年、全国各地方紙(時事通信社配信)で教育特集記事「子どもとスマホ」を連載。

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