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大人だけじゃない! 子どもの「逆流性食道炎」の原因・症状・なりやすい家庭の特徴

胃もたれや胸焼けがする「逆流性食道炎」ですが、近年、子どもの患者も増えているそうです。

子どもの逆流性食道炎とは?
子どもの逆流性食道炎とは?

 胃もたれや吐き気、胸焼け、喉の痛みなどの症状がみられる「逆流性食道炎」。飲酒や喫煙、不規則な生活、ストレスなどが原因で、中高年など大人が発症するケースが多いですが、近年は子どもの患者も増えているようです。ネット上では「大人の病気だと思ってた」「子どもは飲酒も喫煙もしないのにどうして」「親が気を付けるべきことは?」など、さまざまな声が上がっています。

 子どもが逆流性食道炎を発症する原因やリスクとは、どのようなものでしょうか。内科医の市原由美江さんに聞きました。

大人とは異なる、さまざまな症状がある

Q.逆流性食道炎とは、どのような病気でしょうか。

市原さん「胃の中の食べ物や胃液が食道に逆流することにより、食道の粘膜がただれたり、潰瘍(かいよう)ができたりする病気です。胃酸が食道に逆流する病態を『胃食道逆流症』といい、食道炎をきたしている状態を『逆流性食道炎』といいます。

典型的な症状は、胸焼けや口にすっぱい胃液が込み上げる『呑酸(どんさん)』、げっぷ、胸痛などです。通常は、胃の内容物が食道に逆流しないように、食道と胃の境目にある下部食道括約筋が機能していますが、下部食道括約筋の働きが弱まったり、胃酸が過剰に分泌されたりすると、胃酸が逆流してしまいます」

Q.大人と子どもで、原因・症状に違いはありますか。

市原さん「授乳後の乳児がミルクを吐いてしまうことがありますが、これは下部食道括約筋が未熟であるために起こります。ミルクの量が多すぎたり、母乳中にカフェインが含まれていたりすると逆流が生じやすいと言われています。これらは通常、1歳ごろには自然に治まります。

(胃の入り口の一部が横隔膜の上に出てしまう)『食道裂孔ヘルニア』になると胃酸が逆流しやすくなり、逆流性食道炎になりますが、先天性の食道裂孔ヘルニアの場合、子どもでも逆流性食道炎をきたします。そのほか、寝たきりや側彎(背骨が曲がる)など、重症身体障害児に多い傾向にあります。

子どもの症状は、頻繁な嘔吐(おうと)、繰り返す肺炎、咳、喘鳴(ぜんめい)、呼吸停止(乳幼児突発性危急事態)、虫歯ができやすいことなど、大人とは違ってさまざまです」

Q.逆流性食道炎を発症する子どもが増加しているのは事実でしょうか。

市原さん「子どもの患者数のデータはありませんが、報告数が増えているのは確かです」

Q.子どもが逆流性食道炎を発症しやすい家庭の特徴や習慣、食生活、年齢を教えてください。

市原さん「高脂肪食、暴飲暴食、寝る前の食事など、食生活によって逆流性食道炎を発症しやすくなるのは大人も子どもも同じです。食事の内容や時間帯の見直しが大事です」

Q.子どもが発症した際、どのような自覚症状を訴えることが多いのでしょうか。また、親が子どもの発症を疑うべきサインはありますか。

市原さん「子どもは『胸やおなかが痛い』と表現することがあります。また、先に述べたように、頻繁な嘔吐、繰り返す肺炎、咳、喘鳴、呼吸停止、虫歯ができやすいことなどで周囲の大人が気付く場合があります」

Q.子どもの逆流性食道炎は、どのように治療するのですか。

市原さん「乳幼児の場合、成長と共に症状が改善することがあるので、『乳幼児突発性危急事態』など、よほどの状態でなければ経過観察します。症状が強ければ、大人と同じように胃酸の分泌を抑える薬や、胃腸の動きをよくする薬などが使われます。また、逆流性食道炎の症状による成長障害や食道裂孔ヘルニアがある場合、手術を検討します」

Q.子どもの頃に発症した場合、大人になってから再発する可能性は高いのでしょうか。

市原さん「逆流性食道炎は再発しやすい病気です。いったん症状が改善しても、食生活やストレスなどで再度症状が現れる可能性があります。再発予防のためにも、高脂肪食や暴飲暴食、寝る直前の食事を避けるよう意識することが大切です」

Q.子どもの逆流性食道炎を防ぐため、日常生活で親や周囲の大人が意識すべきことはありますか。

市原さん「子どもは体の構造や機能が成長段階にあります。『良い姿勢を保つ』『よく噛(か)んでゆっくり食べる』『3食しっかりと取る』『食べ過ぎない』『遅い時間の夕食は避ける』など、規則正しい生活を心掛けて発症を予防しましょう」

(オトナンサー編集部)

市原由美江(いちはら・ゆみえ)

医師(内科・糖尿病専門医)

横浜鶴ヶ峰病院付属予防医療クリニック副院長。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医に。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のために患者会や企業での講演活動を行っている。また、医師と患者両方の立場から患者の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。糖尿病専門医として、患者としての経験から、ダイエットや食事療法、糖質管理などの食に関する知識が豊富。1児の母として子育てをしながら仕事や家事をパワフルにこなしている。オフィシャルブログ(https://ameblo.jp/yumie6822/)。

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