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甘党は症状悪化? 薬で糖尿病に? 「花粉症」にまつわる3俗説の真偽を検証してみた

ネット上には、正誤が判断しにくい、花粉症に関する情報があふれています。代表的な3つの説の真偽を医師に聞きました。

本格的な花粉症シーズンが到来…
本格的な花粉症シーズンが到来…

 花粉が本格的に飛散する季節になりました。花粉症の人にはつらい時期で、『何とかしたい』とネットで花粉症に関する情報を探す人もいるかもしれません。しかし、ネット上には、発症のメカニズムや症状の改善法まで、正誤が判断しにくいさまざまな情報があふれています。内科医の市原由美江さんに、花粉症に関連した代表的な3つの説の真偽を聞きました。

「糖質制限で治る」に医学的データなし

Q.そもそも、花粉症とは、どのような仕組みで発症するのでしょうか。

市原さん「スギやヒノキなどの花粉(抗原)が鼻粘膜に付着すると、異物と認識されて抗体が作られます。再度抗原にさらされるとアレルギー反応を起こし、アレルギーを誘発する物質が放出され、これらが鼻炎やくしゃみなどの花粉症の症状を引き起こします」

Q.「甘党や糖尿病、糖尿病予備軍で、花粉症の人は、その症状を悪化させやすい」という説を聞きます。本当ですか。

市原さん「『糖質制限をすると花粉症が治る』という内容の情報が、ネット上にはたくさんあります。この情報を信じて、糖質制限を行う人もいるかもしれません。しかし、実は医学的データがないため、多くの医療関係者は根拠がないと見ています」

Q.「花粉症を緩和する薬の副作用で、血糖値が上昇したり糖尿病になりやすくなったりする」という説を聞きます。本当でしょうか。

市原さん「鼻水などアレルギー症状を抑えるため、花粉症に対してよく使われる『抗ヒスタミン薬』は、摂取しても血糖値に影響しません。しかし、『抗ヒスタミン薬』にステロイドを配合した薬が、花粉症の緩和に使われることがあります。ステロイドは一時的な使用であれば問題ないことがほとんどですが、長期的に漫然と使用すると、血糖値が上昇し糖尿病を発症することがあるので要注意です」

Q.「抗ヒスタミン薬」入りの花粉症の薬を飲むと、喉が渇くことがあるそうです。どうしてですか。

市原さん「どんな薬にも副作用があり、薬の添付文書に多くの副作用が記載されています。『抗ヒスタミン薬』で起こり得る副作用の一つに、喉が渇くというものがありますが、なぜ起こるかは分かっていません。前述のように、ステロイドが配合された『抗ヒスタミン薬』は特に、漫然と使用すると血糖値が上昇するので、喉を潤すためにジュースなどの甘い飲み物を多飲すると糖尿病のリスクは上がります」

Q.その他にも、花粉症の薬の中で、血糖値が上がる薬はありますか。

市原さん「『塩酸プソイドエフェドリン』などの交感神経を刺激する薬は、鼻炎を改善する効果がありますが、血糖値を上げる可能性があり、糖尿病の人は慎重に摂取する必要があります」

Q.「乳酸菌やビフィズス菌で腸内環境を整えると、花粉症の発症を抑えられる」という説を聞きます。本当ですか。

市原さん「乳酸菌やビフィズス菌で腸内環境を整えると、花粉症の発症が抑えられたり症状が軽減したりするとの報告が数多くあります。腸は食物を消化・吸収すると同時に、免疫をつかさどる器官でもあり、体中の免疫細胞の約60%を占めています。腸内環境を改善することで免疫力が上がり、アレルギー反応を起こしにくくなると考えられます」

Q.花粉が本格的に飛散する時期になりました。今から予防的な治療を行っても効果はあるのですか。花粉症の人が快適にこの時期を過ごせるコツがあれば教えてください。

市原さん「花粉症で毎年、特定の時期から症状が出る人は、今からでも症状が出始める前に『抗ヒスタミン薬』などを定期的に飲むとよいでしょう。乳酸菌やビフィズス菌などで腸内環境を整えることでも症状緩和の可能性はあります」

(オトナンサー編集部)

市原由美江(いちはら・ゆみえ)

医師(内科・糖尿病専門医)

横浜鶴ヶ峰病院付属予防医療クリニック副院長。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医に。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のために患者会や企業での講演活動を行っている。また、医師と患者両方の立場から患者の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。糖尿病専門医として、患者としての経験から、ダイエットや食事療法、糖質管理などの食に関する知識が豊富。1児の母として子育てをしながら仕事や家事をパワフルにこなしている。オフィシャルブログ(https://ameblo.jp/yumie6822/)。

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