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冬だけじゃない! 暖かい季節も油断できない「ノロウイルス」の症状・感染経路・対策

インフルエンザが猛威を振るい、はしかも注目された今冬ですが、ノロウイルスによる感染性胃腸炎も少なくなかったようです。

今冬はノロウイルスの感染報告も多いという
今冬はノロウイルスの感染報告も多いという

 この冬は、インフルエンザが猛威を振るい、最近でははしかも流行し、注意が呼びかけられています。一方、毎年この季節に多いノロウイルスの集団感染のニュースは、この冬は例年より少なかった印象です。しかし、国立感染症研究所によると、ノロウイルスの感染報告数は前年よりも若干高い数値で推移しており、今後も警戒が必要なようです。これからの季節、ノロウイルスにどのように対応すべきか、内科医の市原由美江さんに聞きました。

吐き気などの消化器症状と発熱

Q.そもそも、ノロウイルスに感染すると、どのような症状が出るのですか。

市原さん「感染性胃腸炎となり、吐き気、嘔吐(おうと)、下痢などの消化器症状と、37~38度の発熱があります」

Q.ノロウイルスは花粉症のように、数年おきに大流行するのでしょうか。

市原さん「ノロウイルスは、年により遺伝子が前年と変わることがあります。ノロウイルスに感染すると、しばらくはそのウイルスの遺伝子型に対する免疫が維持されますが、新たな遺伝子型のノロウイルスが発生すると、免疫を持たない人が多く発生するため、感染しやすくなり流行すると考えられます。この流行は、数年おきに繰り返しています」

Q.ノロウイルスは冬だけではなく、暖かくなっても感染の可能性があると聞きます。感染の経路や症状などに違いはありますか。

市原さん「流行のピークは冬場ですが、夏にも感染が認められます。感染経路は(1)カキなどの二枚貝によるもの(2)ウイルスに感染した人が食品を介して他者に集団感染させる(3)感染した人の吐物や便を介してウイルスを他者に感染させる――というものがあります。感染経路は季節に関係ありません。

例えば、冬はカキを生で食べる機会が増えます。ノロウイルスに感染すると、人から人へと感染が広がり、また、人の吐物や便などに含まれるノロウイルスが下水から川を通り海へ流され、それが海中のカキなどの貝に移動して人にうつるという繰り返しです。一方、夏はカキを食べる人が少ないので感染が少ないですし、感染して吐いたりしても気温や湿度の影響でノロウイルスが死滅しやすかったり、飛散しにくかったりすると思います」

Q.冬は湿度が下がり乾燥します。乾燥することで空気中に飛び散ったノロウイルスを吸い込んで感染することがありますか。

市原さん「乾燥した冬は、空気中のウイルスを吸い込む可能性は暖かい季節よりも高くなると思います。暖かくなるにつれ湿度も上昇し、ノロウイルスが飛散しにくくなることから、吸い込んで感染する可能性は下がると思われます」

Q.これからの季節は、ノロウイルスに感染する確率は低いということで、安心できるのでしょうか。

市原さん「気温が上がるこれからの時期の感染は少ない傾向にありますが、夏バテなどで体力や免疫力が落ちていると感染する可能性は十分あります。体調を崩さないよう規則正しい生活を心がけましょう。もちろん、貝などの食品の加熱、十分な手洗い、消毒は大切です」

Q.ノロウイルスに感染した場合や、家族や勤務先の同僚が感染した場合の注意点を教えてください。

市原さん「ノロウイルスに感染した人の吐物や便の中には大量のウイルスが含まれています。トイレの便座やドアノブ、水道の蛇口などに付着しているウイルスから接触感染します。(1)吐物が周囲に付着しないように注意する(2)トイレが複数あれば他の人とは別のトイレを使用する、なければトイレ使用後に次亜塩素酸で消毒する(3)カーペットなどに付着したウイルスが乾燥して空気中を舞うことでも感染するため床やカーペットなどの消毒も行う――などが大切です」

(オトナンサー編集部)

市原由美江(いちはら・ゆみえ)

医師(内科・糖尿病専門医)

横浜鶴ヶ峰病院付属予防医療クリニック副院長。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医に。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のために患者会や企業での講演活動を行っている。また、医師と患者両方の立場から患者の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。糖尿病専門医として、患者としての経験から、ダイエットや食事療法、糖質管理などの食に関する知識が豊富。1児の母として子育てをしながら仕事や家事をパワフルにこなしている。オフィシャルブログ(https://ameblo.jp/yumie6822/)。

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