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夫婦をやめてお金と時間を手にしたい38歳主婦、離婚に向けて行う4つの「離活」(上)

何が何でも慰謝料を取るための離活

2.何が何でも慰謝料を取るための離活

 他人同士の男女が交際し、求婚し、結婚するのだから、「続ける」つもりで籍を入れたはずです。前向きな気持ちで夫婦になったのに、後ろ向きな気持ちが膨らんで離婚せざるをえなくなったのは、夫だけのせいではなく、夫にも妻にも相応の落ち度や欠点、そしてボタンの掛け違いがあったはず。そのため、不倫や借金、暴力など特別な事情がない限り、けんか両成敗「せず」。「慰謝料」の3文字を口にせずに収束します。

 しかし、美和子さんは長年の鬱積(うっせき)により、「あいつのせいで人生がめちゃくちゃだわ!」と被害妄想に取りつかれ、自分の過ちを顧みず、「10対0であっちが悪い!」と本気で信じていたのです。

「お互い様なんだから仕方がないよね」

 美和子さんが実家の母親に相談したところ、そんなふうに諭されたのですが、せっかく話を聞いてくれた母親に向かって逆ギレしてしまったそう。「私がどんなに苦しい思いをしたのか分かっているの。慰謝料を分捕らないと気が済まないのよ!」と。

 はたから見れば、明らかに「性格の不一致」なのに慰謝料を発生させるにはどうしたらよいのでしょうか。美和子さんは「DV夫」に仕立てることを思いついたようです。具体的には、スマートフォンの録音機能を準備して夫婦げんかの一部始終を録音し、日付や場所をメモしておきました。

 実際、美和子さんの夫は物静かで言葉数が少なく、感情の起伏が小さいタイプでした。美和子さんは夫の人格を否定したり、過去を蒸し返したり、両親の悪口を言ったり…夫がキレるまで挑発し続けたのです。そして後日、録音データを加工しました。「何だと!」「ふざけるな!」「いい加減にしろ!」など夫が捨てぜりふを吐いた場面、売り言葉に買い言葉で勢い余ってエキサイトした場面、我慢の限界を超えて思わずテーブルをたたいた場面などを残し、それ以外は削除すれば完成です。

 そして、修正済みの録音を学生時代の女友達に聞かせて、美和子さん寄りの証言をしてもらいました。「とんでもない旦那だわ。だって手を上げたんでしょ。やっていいこととダメなことがあるじゃない? 越えてはいけない一線を越えているよ。『万が一のこと』も考えて実家に戻った方がいいんじゃない? いや、いっそのこと離婚しちゃいなよ!」と。女友達が力いっぱいに夫のことを批判してくれたので、いっちょ上がりです。

 さらに、警察へ駆け込んで「このままじゃ殺される」と訴えかけたそうです。ただし、まだ離婚の準備段階なので、「夫のDVに長年悩んでいて、警察に相談したこともある」という既成事実を作るだけで十分です。「警察に来たことを旦那に知られたら何をしでかすか分からない」と話し、今すぐ大事にならないよう気を付けたのです。

 妻の個人的な意見は握りつぶされる可能性がありますが、「妻以外の誰か」と口裏を合わせておくことで、多勢に無勢という感じで押し切ることができます。慰謝料とは精神的苦痛の対価ですが、途中の経緯はともかく、DVによって苦痛を与えたのは確かなのだから、慰謝料を払わざるをえなくなります。

※「下」に続く

(露木行政書士事務所代表 露木幸彦)

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露木幸彦(つゆき・ゆきひこ)

露木行政書士事務所代表

1980年12月24日生まれ。いわゆる松坂世代。国学院大学法学部卒。行政書士・ファイナンシャルプランナー(FP)。金融機関の融資担当時代は住宅ローンのトップセールス。男の離婚に特化し行政書士事務所を開業。開業から6年間で有料相談件数7000件、公式サイト「離婚サポートnet」の会員数は6300人を突破し、業界最大規模に成長させる。他で断られた「相談難民」を積極的に引き受けている。自己破産した相手から慰謝料を回収する、行方不明になった相手に手切れ金を支払わせるなど、数々の難題に取り組み、「不可能を可能」にしてきた。朝日新聞、日本経済新聞、ダイヤモンドオンライン、プレジデントオンラインで連載を担当。星海社の新人賞(特別賞)を受賞するなど執筆力も高く評価されている。また「情報格差の解消」に熱心で、積極的にメディアに登場。心理学、交渉術、法律に関する著書を数多く出版し「男のための最強離婚術」(7刷)「男の離婚」(4刷、いずれもメタモル出版)「婚活貧乏」(中央公論新社、1万2000部)「みんなの不倫」(宝島社、1万部)など根強い人気がある。仕事では全国を飛び回るなど多忙を極めるが、私生活では30年以上にわたり「田舎暮らし」(神奈川県大磯町)を自ら実践し「ロハス」「地産地消」「食育」の普及に努めている。公式ブログ(https://ameblo.jp/yukihiko55/)。

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