入力30分、国選択は「ア行」から…東京五輪ボラ応募フォームに批判の声、組織委に聞く
東京五輪・パラリンピックのボランティア応募フォームについて、「難しい」と批判の声が出ています。

2020年の東京五輪・パラリンピックのボランティア募集が9月26日から始まりましたが、ネット上の応募フォームに「時間がかかる」「難しい」と批判の声が出ています。冒頭から「入力は約30分かかります」とある上、誕生日の入力方法が分かりにくかったり、国の選択肢で「日本」がなかなか出てこなかったりするためです。SNS上では「途中で面倒臭くなってやめそう」「応募時点で根性を試しているのでは」との声も。組織委員会に話を聞きました。
「項目数は以前より減らした」
組織委員会が募集するボランティアは8万人で、観客の案内や競技運営のサポート、大会関係者が移動する際の車の運転などを担当。12月上旬まで募集します。大イベントを間近で体感できるチャンスである一方、「1日8時間」「原則10日間以上」「宿泊費は自己負担」といった条件から「ブラックすぎる」「やりがい搾取では」などの批判も起きています。
そんな中、始まった募集ですが、五輪公式サイトの応募フォームで「大会ボランティアに応募する」とある箇所をクリックすると、「応募フォームの入力には約30分かかります」との表示が。次にフェイスブックかグーグル、LINEのアカウントがあれば先に進めるのですが、いずれも持たない場合、「登録前の登録」が必要になります。
応募フォームにたどり着くと、そこから必須項目だけで約40項目、任意の部分も入れると約70項目の入力・選択が始まります。
生年月日はカレンダーから選ぶ方式ですが、最初の表示は「2018年9月」。矢印をクリックすると1年ずつさかのぼれるのですが、50歳の人なら50回クリックする必要があります。2002年4月1日以前に生まれた人しか応募できないのに、なぜか、2018年が最初に表示されます。偶然、生年月日を直接入力する方法を発見しましたが、公式サイトのマニュアルにはその説明はありませんでした。
さらに「居住国」の選択肢は「アイスランド」から始まり、カタカナ表記の国名が五十音順にずらりと並び、「ロシア」の後に漢字で始まる国名が登場。「日本」が出てくるのは、200カ国・地域を過ぎてからです。
大会組織委員会の戦略広報課に聞きました。
Q.ボランティア応募フォームは誰が、いくらで制作したのですか。
担当者「過去の大会でも実績のある(フランスに拠点のあるIT企業)『AtoS(アトス)』が受託しています。個別の契約内容については回答を控えさせていただきます」
Q.応募フォームの入力に約30分かかると説明にあります。「もう少し簡単にすべきでは」という意見はなかったのでしょうか。
担当者「応募者の負担に配慮し、入力項目数は過去の大会よりも減らしています。入力に時間を頂き、ご不便をおかけしますが、皆さまへのサポートとしてコールセンターやメールでのご質問を受けているほか、応募入力についての動画、マニュアル、よくご質問頂く内容のFAQを用意しています」
Q.2002年4月1日以前生まれの人が募集対象なのに、生年月日の選択が2018年から始まるのはなぜですか。50歳以上の人は50回以上クリックが必要になります。また、直接入力の案内がない理由は。
担当者「入力マニュアルに記載があります」
Q.国選択で「日本」が最初に出てこず、「アイスランド」から五十音順になっているのはなぜですか。日本からの応募が多いと思いますが。
担当者「個別の仕様の問い合わせについてはお答えしておりません」
Q.応募フォームに関して改善の予定はありますか。
担当者「現在、システム自体の大きな改定は予定していませんが、マニュアルなども参照してもらいながらスムーズに入力していただけるよう、ご意見も踏まえながら更新し、入力のサポートを行っていきます」
なお、生年月日についての回答を受けて入力マニュアルを読み直しましたが、比較的簡単な入力方法の記載はあったものの、「なぜ2018年が初期画面か」という疑問は解消できませんでした。
ボランティアに意欲的な人にとっては、30分かかることや多少の面倒は気にならないかもしれません。しかし、「より多くの人たちの参加を」と呼びかける以上、最初のステップで戸惑わないための改善も必要かもしれません。
(報道チーム)
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