五輪危機! コロナ、いじめ自慢、ナチス…汚物にまみれた五輪の意義とは
きょう7月23日に開会式が行われる東京五輪。開会を前に「いじめ」「ナチス」「失踪」「汚物臭」などさまざまな問題が噴出しています。

東京五輪開催を前に大変な事態に陥っています。4回目の緊急事態宣言が発令され、東京の新規感染者数は連日1000名を超えています。それを受けて、政府分科会の尾身会長が、8月1週目に3000人近くまで増加するとの見通しを示しました。さらに、選手村でも感染が拡大しています。果たして、安全安心な五輪は実現されるのでしょうか。
擁護の報道姿勢に違和感
さらに追い打ちをかけるように、五輪開閉会式の音楽制作、小山田圭吾氏の「いじめ行為」が問題視されます。小山田氏は事実関係を認めた上で、辞退する意向はないとの意思を示します。これに知的障害者の権利擁護と政策提言を行う一社「全国手をつなぐ育成会連合会」は公式サイトで声明文を発表しました。
声明文は平静に日本社会における「いじめ問題」のあり方、さらに、組織委員会に社会的責任を問うものでした。しかし、組織委員会は辞退回避だけに終始します。
組織委員会は「引き続き最後まで準備に尽力していだたきたい」と辞任、解任の方針を示しませんでした。その上で、武藤敏郎事務総長は「彼は今、現時点において十分に謝罪をして反省をして、“倫理観を持って行動したい”と言っている」と擁護します。
「障害者に汚物を食べさせる」「人前で自慰をさせる」などの行為が問題視されているのに「倫理観」という言葉を使われると違和感を覚えます。結果的に小山田氏は辞任したものの、ドタバタ感は否めず、説明責任と任命責任はいまだに明らかにされていません。
さらに違和感を覚えたのが大手メディアの扱いです。五輪が迫ったことから、忖度(そんたく)をし、正確な報道を怠ったようにも見えました。
ある番組では「障害者に汚物を食べさせる」「人前で自慰をさせる」などの説明はなく、20年前の問題であることを強調し、司会者が擁護の態度を鮮明にしました。あるタレントは「清廉潔白な人っていますか?」と世論をけん制し、さらには、1990年代カルチャーを解説するものもありました。
筆者は学生時代から約30年近く、障害者支援活動を行っています。しかし、これらの意見はまったく正しくありません。どのような背景があるにせよ、いじめを肯定する理由に一ミリたりともなりえないからです。
世界はどのように報道したか
五輪放映権を持つ米NBCは「Tokyo 2020 Olympics composer apologizes for bullying disabled classmates」とタイトルを打ち、詳細に報じました(https://www.nbcnews.com/news/olympics/tokyo-2020-olympics-composer-apologizes-bullying-disabled-classmates-n1274307)。
米ABCも、小山田氏が謝罪したものの、ネット上で辞任要求が高まっていることを伝え、新型コロナウイルス禍の問題に取り組む大会にとって禍根を残したことを報じます。
英デーリー・テレグラフ電子版、英ガーディアン、仏の国際放送サービスでもあるラジオ・フランス・アンテルナショナルは「五輪のイメ―ジを傷つけた」と批判します。仏フィガロなどを含め、台湾、韓国、オーストラリア、メキシコ、ベトナムなど世界各国あらゆる地域に拡散し、報じられているのです。
世論は五輪開催に批判の声が大きく割れています。五輪貴族への「おもてなし」だけは欠かさず、気が付けば、コンパクト五輪は夢か幻か、費用も当初の約7倍となりました。組織委員会は国民の疑心に対して真摯(しんし)に向かい合わなくてはいけないはずです。
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