エアコンの効いた部屋で布団をかけて寝る…「熟睡できる」「体に悪い」と賛否、専門家は?
「エアコンが効いた部屋で布団をかぶって寝たい」との投稿に、共感の声が上がっています。この方法で、睡眠の質は上がるのでしょうか。

猛暑で寝苦しい熱帯夜が続く中、「エアコンと睡眠」についてSNS上などで話題になっています。睡眠中にエアコンを使用する人の中には「エアコンがよく効いた部屋で布団をかけて寝る」ことを気持ち良いと感じ、実践している人が多いようです。
SNS上では「めっちゃわかる」「毎晩これで寝てます」「こたつでアイス食べるとおいしいのと同じ」「熟睡できる気がする」と賛同する声や、「部屋を冷やしすぎるのは抵抗ある」「体に悪いのでは」などの意見もあります。
この方法で、睡眠の質は上がるのでしょうか。近著に「あきらめていた『体質』が極上の体に変わる」(ダイヤモンド社)があるナイトケアアドバイザーで睡眠改善インストラクターの小林麻利子さんに聞きました。
睡眠に適した温度は26度
Q.まず、睡眠と温度の関係について教えてください。
小林さん「睡眠に適した温度は26度です。これはエアコンの温度設定ではなく、温度計を用いて測った時の室温を指します。今年のような猛暑続きの熱帯夜の場合、エアコンの設定を26度にしても、実際に室温が26度に下がるまでにかなりの時間を要するため、設定温度は低めに設定してください。寝室には、温度計を用意しておくとよいでしょう。
ちなみに、私の自宅の寝室は最上階の角部屋(北西側)で、窓からも天井からも熱が伝わります。カーテンを閉めていても、室内は約32度になっていることもあるため、つけ始めのエアコン設定は『22度・強風』です。26度になったら、風量は『自動』、風向きは一定で固定、温度は26度に設定し、一晩中つけています」
Q.「エアコンが効いた部屋で布団をかけて寝ると気持ち良いと感じる」のはなぜですか。
小林さん「『気持ち良い』と感じるのは、エアコンが効いた状態の寝室が睡眠に適しているからです。一般的に、睡眠に適した温度は26度と言われており、真夏に熟睡するためにはクーラーが欠かせません。
しかし、冷風が体に当たると表面の血管が収縮し、体の内側の温度が放出しにくくなり、眠りが浅くなってしまうことがあります。そこで、布団をかけて、体に直接冷風が当たるのを防ぐことで満足のいく眠りを得ることができるのです」
Q.実際に睡眠の質も高くなっているのでしょうか。
小林さん「深い眠りにつながっているため、睡眠の質も高くなっていると言えるでしょう。寝つき時に『最高に気持ち良い』と感じる環境ならば、寝つき後の過剰な寝返りを防ぎ、90分以内に深い眠りが得られます。そうすると、成長ホルモンがしっかり出て体が最高にリカバリーされるため、翌朝の快適度が大きく変わるのです。
なお、より質の高い睡眠には、『クーラー+布団』に加え、長袖・長ズボンの寝具を身に着けることをお勧めします」
Q.真夏でも長袖・長ズボンが必要な理由とは。
小林さん「眠り始めの90分以内に深い眠りに入ると、深部体温が大きく下がります。それに伴って発汗し、手足から放熱されます。その時に半袖・半ズボンを着ていると、汗が肌にまとわりつき、寝具内に熱や湿気がこもるため、布団と敷布団の間の湿度が高くなり、体の内側が放熱しにくくなります。
長袖・長ズボンは汗を吸い取って発散してくれるので、布団と敷布団の間の空間が快適になり、眠りやすくなります。綿100%の長袖・長ズボンのパジャマが最適です。また、寝つき時には涼しく快適でも、早朝4時ごろには深部体温が最も低くなり、寒くて目覚めてしまうこともあります。冷えから守ってくれるという点でも優れていると言えるわけです。
なお、夏物のパジャマのズボンは薄いため、巻き上がって足首が丸見えになることもあります。ネグリジェなども同様ですが、足首は脂肪や筋肉が少ないため、冷えやすい部位です。ここが冷えると、体全体の冷えを感じやすくなるため、パジャマズボンの上からレッグウォーマーをして、まくれ上がるのを防ぐとよいでしょう。
足首を温めると、足先から熱が外に逃げやすくなり、内側の深部体温が下がりやすくなるため、深い眠りにつながりやすくなります」
「睡眠に適した温度は26度です」
ええっ、それじゃ寒すぎる。うちは、28度から30度だよ、フトンがいらないくらい。