欧州で睡眠障害のリスク指摘…「サマータイム制度」は生活リズムや健康を壊さないのか
睡眠時間の変化に伴う、健康への影響が指摘される「サマータイム制度」。導入国で暮らす日本人や、睡眠の専門家はどのように考えているのでしょうか。

2020年の東京五輪・パラリンピック開催を控え、猛暑対策として導入が検討されている「サマータイム制度」(夏の時間を1~2時間繰り上げる制度)。一方で、1970年代から夏時間が定着している欧州では、夜間の省エネ効果が乏しいことや健康への悪影響から、廃止の是非を巡る議論が活発化しています。欧州議会が昨年10月にまとめたリポートでは、生活リズムの変化による睡眠障害のリスクが指摘されました。
導入国在住の日本人からも賛否
実際にサマータイムを実施している国で生活している日本人は、同制度や、時間繰り上げに伴う睡眠リズムの変化について、どのように感じているのでしょうか。賛成派、反対派、それぞれの声を紹介します。
【賛成派】
「幼稚園の子どもがいますが、サマータイムは子どものためにもとても良い制度だと思います。涼しく園庭で遊べる時間が増えるからです。夏は本当に暑く、どんどん気温が上がっていくので、1時間繰り上がるだけで体感温度が全然違います。始まる日も終わる日も毎年日曜日で、たったの1時間なので、生活リズムが狂って困ったという経験はありません。
通っている幼稚園からも、特にインフォメーションはありませんでした。心掛けとしては、切り替え前日の土曜日は、切り替え後の生活リズムの時間に朝起こして、昼寝や就寝時間も切り替えるようにしています」(米国在住・35歳女性)
「仕事後の時間が充実するので賛成です。切り替わった直後は時差ボケのような状態が続きますが、体調を崩すほどではありません。サマータイムの開始日と終了日は日曜日で、仕事も町中の店も休みなので、のんびり過ごしています」(ドイツ在住・26歳男性)
「開始日を忘れて、レストランの予約時間を間違えたことがあります。そういう切り替わり時の煩わしさがあることは確かです。ただ、こちらは日本の街のような明るいネオンがないので、太陽の出ている時間の活動時間が増える制度は、経済的にも、個人の余暇の充実という面でも必要だと感じています。明るい時間に外で活動できなければ、夜によく眠ることもできません」(フランス在住・42歳男性)
【反対派】
「個人的には、サマータイムはなくてもよいと思っています。明るい時間が続いて夜遅くまで遊べるのがうれしい半面、子どもの寝かしつけが大変です。夏時間開始直後は、子どもの就寝時間になっても室内がまだまだ明るいので、ロールスクリーンカーテンを買って部屋を暗くする工夫をしています」(オーストリア在住・37歳女性)
「睡眠のリズムが狂うので、切り替わり時は疲れやすくボーッとしてしまうことが多いです。開始直後の3月は、子どもの登校時間になっても外がまだ暗いので、スクールバス乗り場まで懐中電灯を持って送っています」(米国在住・33歳男性)
「面倒の方が多く、あまりメリットを感じません。昼寝や食事の時間を含めて、せっかく子どもに規則正しい生活をさせようとしても、デイライト・セービング(夏時間)で狂ってしまい、切り替え後数日間はなかなか寝てくれません。期間中は、大人も夜更かしする人が増えるし、健康的な制度だとは思えません」(オーストラリア在住・40歳女性)
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