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「宅配事業者に再配達依頼→不在」を繰り返す 法的責任は? “懲役”&“罰金”の可能性を弁護士に聞く

宅配事業者に再配達を依頼したものの、自宅を不在にする行為を繰り返した場合、法的責任を問われる可能性はあるのでしょうか。弁護士に聞きました。

再配達の依頼を繰り返すと、どうなる?
再配達の依頼を繰り返すと、どうなる?

 宅配事業者に荷物の再配達を依頼したものの、急用で再配達当日に自宅を不在にしてしまった経験はありませんか。もし宅配事業者に再配達を依頼したものの、自宅を不在にする行為を繰り返した場合、法的責任を問われる可能性はあるのでしょうか。芝綜合法律事務所の弁護士・牧野和夫さんに聞きました。

損害賠償請求の可能性も

Q.宅配事業者に荷物の再配達を依頼したものの、再配達当日に自宅を不在にした場合、法的責任を問われる可能性はあるのでしょうか。

牧野さん「顧客は、契約上は宅配事業者の債務(サービス)に協力する義務があるため、再配達当日に自宅を不在にした場合、協力義務違反となります。場合によっては、民法の不法行為に基づき、宅配事業者側から損害賠償を請求される可能性があります。

ただ、損害賠償請求には、実際に損害が発生したことを具体的に証明する必要があります。顧客が再配達を依頼後、自宅を不在にしてしまったのが1回であれば、宅配事業者側が被った損害を具体的に証明するのが難しいため、顧客に法的責任を問うのは難しいでしょう」

Q.では、顧客が宅配事業者に再配達を依頼後、自宅を不在にする行為を繰り返したとします。もし事業者側の業務に支障が出た場合、法的責任を問われる可能性はありますか。

牧野さん「顧客が宅配事業者に再配達を繰り返させた場合には、宅配事業者の方で被った具体的な損害の発生を証明することが可能なケースが多いでしょう。そのため、顧客は民法の不法行為に基づき、宅配事業者側から損害賠償を請求される可能性があります」

Q.宅配事業者に繰り返し再配達を依頼する行為について、刑事責任を問われる可能性はありますか。

牧野さん「宅配事業者の業務を邪魔しようと意図的に虚偽の再配達依頼を繰り返して、宅配事業者の業務が邪魔されれば、刑法233条の偽計業務妨害罪に該当する可能性があり、この場合、3年以下の懲役または50万円以下の罰金を科される可能性があります。なぜなら、意図的に人をだます、いわゆる『偽計』により、人の(宅配)業務を妨害した者に当たる可能性があるからです」

(オトナンサー編集部)

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牧野和夫(まきの・かずお)

弁護士(日・米ミシガン州)・弁理士

1981年早稲田大学法学部卒、1991年ジョージタウン大学ロースクール法学修士号、1992年米ミシガン州弁護士登録、2006年弁護士・弁理士登録。いすゞ自動車課長・審議役、アップルコンピュータ法務部長、Business Software Alliance(BSA)日本代表事務局長、内閣司法制度改革推進本部法曹養成検討会委員、国士舘大学法学部教授、尚美学園大学大学院客員教授、東京理科大学大学院客員教授を歴任し、現在に至る。専門は国際取引法、知的財産権、ライセンス契約、デジタルコンテンツ、インターネット法、企業法務、製造物責任、IT法務全般、個人情報保護法、法務・知財戦略、一般民事・刑事。

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