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今さら聞けない…血圧って何? 「上」と「下」ってどういう意味? 循環器内科医に聞いてみた

血圧の「正常値」は?

Q.上と下の数値について、「見方を知らない」「どう見たら分からない」という人もいます。覚えておくと役に立つ、血圧の数値を見るためのポイントを教えてください。

藤井さん「クリニックや病院で測定する『診察室血圧』の正常値は、上が120mmHg、下が80mmHg未満、自宅で測定する『家庭血圧』の正常値は、上が125mmHg、下が75mmHg未満です。高血圧が疑われるのは、最高血圧か最低血圧のどちらか、または両方が正常値を上回っている場合です。

ちなみに、高血圧と診断される基準は、近年厳格化してきています。最新の『高血圧ガイドライン2019』において、以前は『正常高値血圧』とみなされていた『上130〜139mmHg、下85〜89mmHg』が、『高値血圧』に新しく分類されるようになり、基準となる値も『上130〜139mmHg、下80〜89mmHg』へと、いわゆる『下』である拡張期血圧の基準が5mmHg引き下げられました。

同様に、これまでの『正常血圧』(上120〜129mmHg、下80〜84mmHg)が『正常高値血圧』(上120〜129mmHg、下80mmHg未満)へ、『至適血圧』(上120mmHg未満、下80mmHg未満)が『正常血圧』(血圧値は変わらず)へと変更されています。これはさまざまな研究で、上120mmHg未満、下80mmHg未満と比較して、それ以上に血圧が上がるごとに脳心血管病の発症リスクが上昇することが明らかとなったためです。さらに、降圧薬治療の開始の推奨目安や、降圧目標値についても見直しがなされ、全体として血圧管理が厳格化されています。

高血圧の状態が長く続くと、心臓や血管に負担がかかり、脳卒中や心筋梗塞、心不全といった重篤な病気を引き起こす恐れがあります。しかし、高血圧は重症になるまで自覚症状がないため、血圧計で測定しない限り、自分の血圧が正常かどうかを知ることは難しいです。自覚症状がないまま長年経過し、気付いたときには病状が深刻化している…というケースが少なくありません。

血圧は、体の状態を表す大切な指標であり、健康のバロメーターになるものです。ぜひ、血圧測定の習慣をつけましょう」

(オトナンサー編集部)

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藤井崇博(ふじい・たかひろ)

医師、医療法人社団三橋医院理事長

2012年に東邦大学医学部医学科卒業後、東邦大学医療センター大森病院(東京都大田区)で約10年にわたり臨床、研究、教育に従事。病気の原因の排除や病気のリスクの低減を図る「一次予防」を広めるために、2020年に医療法人社団正恵会 ディオクリニックを開設。2021年に東邦大学大学院医学研究科博士課程修了。同年、医療法人社団正恵会理事長就任。2023年、医療法人社団三橋医院理事長就任。

専門領域は循環器内科。保有資格は医学博士(循環器内科学)、循環器内科専門医、内科認定医。日本循環器内科学会、日本内科学会所属。医療法人社団正恵会 ディオクリニック(https://dioclinic.jp/)。「藤井先生@ダイエット豆知識チャンネル」(https://www.youtube.com/channel/UCwhtmWTYHIjO4mZklz4foyw)。

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