今さら聞けない…血圧って何? 「上」と「下」ってどういう意味? 循環器内科医に聞いてみた
血圧を測定したときに出る「上」と「下」の数値。この意味について、あなたは正しく知っていますか。今さら聞けない血圧の「上と下」について、循環器内科の専門医に聞いてみました。
血圧を測定すると、「上が◯◯」「下が◯◯」といった数値が示されます。これについて、「どうして上と下があるの?」「どういう意味があるのか知らない」など、「上と下」が何を意味しているのかについて、「実はあまりよく分かっていない」という人が少なくないようです。今さら聞けない、血圧の「上と下」。どのような意味があるのでしょうか。循環器内科専門医で、医療法人社団正恵会(東京都豊島区)理事長の藤井崇博さんに聞きました。
「上」は心臓の収縮時、「下」は心臓の拡張時の値
Q.そもそも、人体における「血圧」とは何ですか。
藤井さん「人間の体を流れる血液は、人体に必要不可欠な酸素や栄養素を全身に届けるという非常に重要な役割を担っており、心臓が収縮と弛緩(しかん)をポンプのように繰り返すことで、全身に血液を届けています。
『血圧』は、簡単な言葉でいうと、心臓から送り出された血液が血管の壁を押す力のことです。血圧は、心臓が1回の拍動で全身に送り出す血液量、血管の弾力性(しなやかさ)、血管に血液が流れ込む際の血管の抵抗力、血液の粘度といった要因によって変化します。
さらに、血圧に関して知っておくべきなのは、『血圧は常に一定ではない』ことです。血圧は、測定する時間帯や室温、季節、食事や運動といった日常生活、ストレスなど、さまざまな原因によって変動します。運動して一時的に上昇した血圧が、運動後、安静にすることで自然に下がるのも、正常な血圧の変化です。つまり、運動や緊張などによって一時的に血圧が上昇したとしても、普段の血圧が正常であれば問題ないということになります。
なお、『高血圧』とは、安静時に血圧の高い状態が長く続く状態のことです。正確な血圧の把握には、『同じ姿勢で』『決まった時間に』『リラックスした状態で』測ることが大切です。
基本的に、血圧を測定するタイミングは『起床後1時間以内』が推奨されます。お手洗いを済ませた後、食事を取る前、薬を飲む前に椅子に座り、5分以上安静にした後に測定すると正確に測ることができます。これは、われわれ医師が一番知りたい血圧が夜間、就寝中の血圧だからです。起床後に測定することで、就寝中の血圧を予測しやすくなります」
Q.血圧を測定すると、「上」と「下」それぞれに数値が出ますが、これはどういう意味ですか。
藤井さん「血圧の『上』は『収縮期血圧』(最高血圧)、『下』が『拡張期血圧』(最低血圧)を、それぞれ表しています。
『上』の収縮期血圧(最高血圧)は、血液を全身へ送り出すときに心臓が収縮し、血管に強い圧力がかかっている状態の値です。一方、『下』の拡張期血圧(最低血圧)は、心臓が収縮した後、次に送り出す血液を充填(じゅうてん)するために、心臓が拡張しているときの値です。なお、血圧に使われる単位は『mmHg』で、『ミリメートル・エイチジー』と読みます。
こうした血圧の基本情報については疑問に思われる方も多いようで、普段、外来で高血圧の患者さんからも質問されることがあります」
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