脳梗塞の夫にこき使われ続けた53歳女性、介護離婚で2000万円を“総取り”できた理由(下)
慰謝料請求権と財産分与請求権を放棄
このように「自宅の居住権」「退職金」「保険金」「年金」の準備を整えた上で、私は離婚の契約書を作成し、悦子さんに渡しておいたのです。そして、悦子さんは夫に離婚届とは別に離婚の契約書にも署名をもらっておいたのです。具体的な文面は以下の通りですが今回の場合、特に大事なのは第3条(清算条項)です。
離婚が成立するまで、夫と妻は互いに慰謝料請求権、財産分与請求権を有していますが、清算条項入りの書面に署名し、そして離婚が成立した途端にこれらの請求権を失います。せっかく離婚したのに後日、お金のことを蒸し返されるようでは何のために離婚したのか分かりません。離婚と同時に請求権も放棄させることができれば、離婚後は安心して暮らすことができるので、離婚時に交わす書面の中には清算条項を入れる方が自然です。
例えば、慰謝料については離婚後、浮気の事実を疑い、メールや写真等から確たる証拠を手に入れ、証拠を突きつけることで夫(妻)を白状させることができたとしても、追加で慰謝料を請求することは難しいのです(浮気相手に請求することは可能)。
そして、財産については離婚の時点で線引きし、離婚時の夫の財産は離婚後も夫の財産、同じく離婚時の妻の財産は離婚後も妻の財産として確定します。悦子さんは前もって夫の口座から保険金の1200万円、退職金の800万円、合わせて2000万円を自分の口座へ移しておいたのですが、夫が清算条項入りの書面そして離婚届に署名し、そして役所へ離婚届を提出することで、2000万円は悦子さんの財産と認められるのです。
万が一、離婚後に夫や義両親が「保険金や退職金はどこに行ったんだ!」と問い詰めてきても、悦子さんはしらばっくれることもできますし、正直に「私がもらったの。今さら文句を言われる筋合いはないわ!」と突っぱねることも可能です。
このように長年、夫の悪態に苦しめられてきた妻が「今か今か」と手ぐすねを引いて離婚を待っているのですが、「夫婦なんだから!」という理由で助け合うのは確固たる信頼関係がある場合だけです。すでに最低限の信用すら残っていない場合、妻が夫の介護を放棄するだけでなく、離婚に踏み切ってもおかしくはありませんし、病気の影響で心身ともに不自由だからこそ、積年の恨みを晴らすチャンスとばかりに身ぐるみをはがされても、文句は言えないのではないでしょうか。
【介護離婚】
離婚給付契約書(案)
平野実(以下、甲という)と平野悦子(以下、乙という)は以下の通り、合意した。
第1条 甲と乙は協議離婚をすることに合意し、甲と乙は速やかに離婚届に署名捺印をし、乙が責任をもって離婚届を役所に提出すること。
第2条 甲(第1号改定者)と乙(第2号改定者)は、本日、厚生労働大臣に対し対象期間にかかる被保険者期間の標準報酬の改定または決定の請求をすること及び請求すべき按分割合を50%とする旨、合意したので乙は離婚届を提出した後、合意書面と離婚後の戸籍謄本を年金事務所へ持参し、しかるべき手続(厚生労働大臣への届け出)を行う。
甲(昭和37年1月1日 基礎年金番号 2250−397812)
乙(昭和39年5月28日 基礎年金番号 3138−049774)
第3条 甲と乙は本件離婚につき相手方に対して本契約書に記載した内容以外、何らの請求をしないことを相互に確約した。
平成30年2月19日
甲 東京都世田谷区沼島橋3−5−10
平野実
乙 東京都世田谷区沼島橋3−5−10
平野悦子
(露木行政書士事務所代表 露木幸彦)


ここに書いてある事がそのまま認められるかはともかく、法律を悪用しているだけじゃない?こんな事を書くから若い人が結婚なんかしない方がましと思うんでは。