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舌に「血豆」状のもの、放置してもいい? 重病の可能性は? 専門家に聞く

舌に血豆のようなものができることがありますが、放置してもいいのでしょうか。受診するとしたら、何科になるのでしょうか。専門家に聞きました。

舌に血豆のようなものができたら、どうする?
舌に血豆のようなものができたら、どうする?

 舌に血豆のようなものができて、「舌をかんだ覚えもないのになぜだろう?」と疑問に思う人がいるようです。なぜ舌に血豆のようなものができるのでしょうか。放置してもいいのでしょうか。受診するとしたら、何科になるのでしょうか。幸町歯科口腔外科医院(埼玉県志木市)院長で歯科医師の宮本日出さんに聞きました。

消えないときは受診を

Q.舌に血豆のようなものができた場合、これは血豆なのでしょうか。なぜできるのでしょうか。

宮本さん「舌をかんだことによる血豆の可能性があります。血豆はいわゆる『内出血』状態です。食事中などに、舌をかんでできる場合、寝ているときに歯ぎしりに伴ってできる場合、出っ張った歯などにぶつかり、無意識にできる場合など、原因はさまざまです」

Q.放置してもいいのでしょうか。それとも医療機関を受診した方がいいのでしょうか。

宮本さん「1週間~10日ほどでなくなる(=自然治癒する)ものは、放っておいて大丈夫です。言い換えると、いつまでも血豆(のようなもの)が消えない、繰り返して同じ場所にできる、口の中のあちこちにできるときは、受診してください」

Q.いつまでも血豆が消えないときなどは、ほかの疾患の可能性もあるということでしょうか。

宮本さん「先ほど述べたように、舌をかんだことによる血豆の可能性がありますが、その他に、深刻な病気も含めた疾患の可能性があります。その一部をご紹介します。

・舌がん:ご本人には血豆と見えているかもしれませんが、がんの特徴である潰瘍形成をしていることもあります
・血管腫:血豆内に血液が豊富な血管が入り込んでいる場合は、誤ってかんで出血が止まらなくなる惨事もあり得ます
・白血病・再生不良性貧血:これらの致命的な血液疾患が原因で血豆ができることもあります

こうした病気の可能性もありますので、先ほど述べたように、いつまでも消えない、繰り返して同じ場所にできる、口の中のあちこちにできるとき、といった場合は、受診をおすすめします」

Q.医療機関を受診する場合、何科がよいのでしょうか。どのような治療になりますか。

宮本さん「受診する医療機関は『口腔(こうくう)外科』がおすすめです。万が一、舌を切除するような治療が必要になった場合には、その後のそしゃく(食べる)・嚥下(えんげ、のみ込む)の治療も行いますが、『舌』『そしゃく・嚥下』の両方の専門が、口腔外科です。原因の歯やかみ合わせの調整も口腔外科でできます。

単なる血豆の場合は、経過を見るだけで治癒しますので、特に積極的な治療はしません。しかし他の疾患が原因のときは、例えば舌がんであれば舌を切除(+首のリンパ節切除)を行いますし、白血病のときは血液内科と連携することもあります」

Q.舌の血豆の予防法があれば、教えてください。

宮本さん「いつもかんでしまう所が同じときは、歯が出っ張っていたり、かみ合わせに問題があったりすることが多いので、口腔外科(あるいは歯科)で調整してもらいます。矯正治療中の人は、矯正装置に当たって血豆を作ることがよくあるので、矯正の先生に相談しましょう。

また、寝ている間に血豆ができてしまうときは、歯が舌にぶつからないように『マウスピース』を装着すると良いでしょう。血豆がよくできる人で、健康診断の血液検査で『白血球』『赤血球』『血小板』などに異常値がある場合は、検査結果を持って受診してもらうと、診断しやすい可能性があります。

血豆ができる場所は圧倒的に舌の辺縁が多いのですが、かむ以外の疾患が原因でできる血豆は痛みなどの症状がないので、自分では見落としがちです。歯みがきの際に鏡で口の中を見るときには、時々、舌の周りや裏側も意識して見ると、さまざまな疾患の早期発見につながります」

(オトナンサー編集部)

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宮本日出(みやもと・ひずる)

歯科医師、歯学博士

1965年、金沢市生まれ。愛知学院大学歯学部を卒業後、石川県立中央病院、豪アデレード大学、明海大学を経て、2007年、埼玉県志木市で幸町歯科口腔外科医院を開業し、現在に至る。2015年から、埼玉医科大学麻酔科非常勤講師。2017年、立教大学大学院でMBA取得。金沢大学医学部で感染制御学を研究したこともあり、「えっ!? まだ始めていないんですか? お口からの感染予防」(ギャラクシーブックス)など多数の臨床関連著書のほか、「サンタはなぜ配達料をとらないのか?」(VOICE)など仕事論の著作も執筆。

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