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子どもが「五月病」になったら、親はどう対処? 精神科専門医に聞く

「五月病」というと、大人がなるものと思われがちですが、子どもにも症状が出るようです。もし、わが子に五月病の症状が出ていたら、親はどう対処すればよいのかを精神科専門医に聞きました。

子どもの「五月病」にどう対処?
子どもの「五月病」にどう対処?

 毎年5月に話題になる「五月病」。新入社員や新年度に人事異動があった社員など、大きな環境変化を体験した大人に現れる症状と認識されていますが、実は子どもも同じく五月病になる場合があるようです。子どもに五月病の症状が出たとき、親はどのように対処すればよいのでしょうか。精神科専門医の田中伸一郎さんに聞きました。

真面目な子どもは要注意

Q.「五月病」では、どのような症状が現れますか。

田中さん「五月病は、4月から始まる新年度の環境変化の影響を受け、5月の連休が明けた頃から心身にひどい不調が出る状態のことをいいます。医学的な病名ではありませんが、体と心に出現した一過性のストレス反応として理解することができます。

具体的な症状としては、(1)頭痛や腹痛、だるさ、疲れっぽさ、動悸(どうき)、息切れ、めまい、食欲不振、睡眠障害、生理不順などの体の不調(2)気分の落ち込み、いらつき、やる気低下、集中困難などのメンタルの不調―が見られます。

(1)はいわゆる自律神経失調と同じ症状で、(2)は、後述するように、適応障害やうつ病と重なる症状です」

Q.子どもにも「五月病」の症状が現れる場合があるのでしょうか。ある場合、どのような子どもに現れやすいのですか。

田中さん「子どもも、新学期の環境変化に影響され、連休明けに五月病を発症することがあります。症状は大人の場合とほぼ同じで、頭が痛い、おなかが痛い、何となくだるい、ご飯が食べられない、朝起きられないなど、体の症状を訴えたり、何かしんどい、気分が落ち込む、面倒くさい、やる気がしない、ゲームがやめられないなど、メンタル不調が見られたりします。

ただし、子どもの場合、症状を言葉で表現できないことがあり、親から見て、いつもより機嫌が悪い、登校渋りが続いている、ふらふらしてすぐ横になりたがるなど、客観的な情報しか得られないことがしばしばあります」

Q.子どもの「五月病」の症状は、どのような子どもに現れやすいのですか。

田中さん「新年度を迎え、苦手な先生が担任になり、仲が良かった友人とクラスが別々になるなど、子どもにとって環境変化が大きければ大きいほど、ストレス反応の症状が出やすいと考えられます。環境要因以外にも、子ども自身に要因があることもあります。

例えば、真面目な性格の子が頑張って環境に適応しようとして無理をしてしまうケース、すなわち、『過剰適応タイプ』の五月病があり、遠目には明るく元気な印象を受けることがあるので、積極的にコミュニケーションを取るなどして周囲の大人が見逃さないようにすることが大事です」

Q.子どもに「五月病」の症状が出たとき、親はどのように対処すればよいのでしょうか。

田中さん「まずは、市販の鎮痛薬を飲ませたり、十分な食事と睡眠を取らせたりするなどして、子どもの心身の不調が週単位で改善してくるかどうかを観察するとよいでしょう。その際、週末には散歩、軽い運動、買い物などの気分転換を行い、程よい疲労感と爽快感を得ることによって生活リズムを立て直すのが有効です」

Q.子どもの「五月病」は、時間の経過とともに改善するのでしょうか。あるいは、医療機関で治療した方がよいのでしょうか。

田中さん「一般には、4月の頑張り過ぎがあり、連休中に生活リズムを崩してしまったというような場合(先ほどの過剰適応タイプなど)は、5月以降の活動量を思い切って減らせば、自然軽快してきます。例えば、塾や部活動、習い事などが心身の負担になっていないかを子どもと相談しながら、場合によっては少しお休みするとよいでしょう。

残念ながら6月に入っても症状が持続し、学校に遅刻する日や登校できない日が増えてきたら、医療機関の受診を検討してください。ひとまず、近くの小児科を受診し、必要に応じて児童精神科を紹介してもらうという流れが一番スムーズです。

また、いつもの元気がない、不機嫌、ご飯を食べないので痩せてきた、睡眠不足あるいは過眠になっているなど、子どもの適応障害やうつ病の症状が疑われる場合には、近隣の医療機関を調べ、予約の電話を入れるなど、早め早めにアクションを起こすことがポイントになると思います」

(オトナンサー編集部)

田中伸一郎(たなか・しんいちろう)

医師(精神科専門医、産業医)・公認心理師

1974年生まれ。久留米大学附設高等学校、東京大学医学部卒業。杏林大学医学部、獨協医科大学埼玉医療センターなどを経て、現在は東京芸術大学保健管理センター准教授。芸術の最先端で学ぶ大学生の診療を行いながら、「心の問題を知って助け合うことのできる社会づくり」を目指し、メディアを通じて正しい知識の普及に努めている。都内のクリニックで発達障害、精神障害などで悩む小中高生の診療も行っている。エクステンション公式YouTubeチャンネル内「100の質問」(https://youtu.be/5vN5D9k9NQk)。

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