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歯が透明に…「酸蝕歯」を放置するとどうなる? 症状や治療・予防法、医師に聞く

食べ方、飲み方に注意を

Q.酸蝕歯になりやすい歯はありますか。

宮本さん「特にありません。口の中の歯が全体的に酸蝕歯になってしまうのが特徴なので、『気付くと全ての歯が酸蝕歯になっていた』『全ての歯がしみてつらい』ということも起こり得ます」

Q.酸蝕歯になりやすい人の特徴はありますか。

宮本さん「酸性の飲食物を『頻繁に取る(回数)』『長く口に含む(時間)』『だらだらと取る(期間)』人は注意が必要です。特にレモン汁や酢、かんきつ系の果物を好んで摂取する人は酸蝕歯になりやすいです。健康のために黒酢を飲んでいた人が匂いや味から一気に飲むことができず、口の中に長時間含んで、少しずつ飲み込んでいたことで酸蝕歯になったケースもあります。

食後30分以内の歯磨きが習慣化している人も酸蝕歯には要注意です。食後の30分は口の中が酸性に傾き、歯の表面が溶けて弱くなっています。この状態で歯磨きをすると、歯ブラシの刺激で歯を傷つけてしまうためです。30分たつと唾液の作用で中性に戻るので、リスクを下げるには食後30分以降の歯磨きがおすすめです。

すぐに歯磨きをしたいときは先に水道水でうがいをすると、酸性に傾いた口の中を中和できます。毛先が柔らかい歯ブラシで、毛先を歯の表面に当てたときに毛先がわずかにたわむ程度の力で磨くとよいでしょう。また、喫煙は直接的な関連はありませんが、エナメル質が劣化した酸蝕歯では、表面にたばこのヤニが付きやすく、着色を取ろうと強い力で歯を磨くと酸蝕歯が進行する原因になります」

Q.酸蝕歯を放置するとどうなりますか。悪化することで歯を失う可能性もあるのでしょうか。

宮本さん「歯を失う直接的な原因とはなりませんが、歯が弱くなることで虫歯にかかりやすくなり、また、進行しやすくなるため、歯を失うリスクは上がります。歯ぎしりやかみしめ癖がある場合、歯がすり減る速度が上がってしまう弊害もあります。酸蝕歯は口の中のトラブルを助長する危険要素と考えてください」

Q.酸蝕歯は治療できますか。

宮本さん「エナメル質は一度失ってしまうと元に戻せません。ただし、酸蝕歯となって失った歯の部分を治療で修復することは可能です。通常は歯科用プラスチック樹脂を使って補修します。色も自分の歯の色にできますし、保険適用です。歯の形が変わったり、すり減って、短くなったりした場合は、かぶせ物による治療を行います。

金属治療は保険適用、セラミックは自費治療です。歯の色を治すにはホワイトニング(自費治療)をしますが、エナメル質のダメージが大きい場合は、かぶせ物治療の方がよい場合もあります。また、悪化した知覚過敏や痛みが強い場合は、歯の神経治療から行います」

Q.酸蝕歯の予防法、進行を遅らせる方法はありますか。

宮本さん「分かりやすい方法としては、酸性の飲食物を取る機会を減らすことです。一度にたくさん取るよりも、口の中にある時間や回数が多い方がリスクが上がります。『だらだら食い』『チビチビ飲み』は控えましょう。

酸性のものが口の中に長く入っているとリスクが高くなるため、酸っぱいものは一気に食べたり、飲んだりする方がよいでしょう。また、口が乾燥していると唾液の作用がなくなるため、食前・食後に水でうがいをするだけでも、酸蝕歯のリスクは下げられます。

また、食べ合わせ・飲み合わせの工夫も効果的です。酸性とアルカリ性の飲食物を一緒に取ると、口内が酸性になりにくくなります。例えば、ワインを飲むときにチーズをおつまみに選ぶと、ワインの酸性をチーズが中和してくれます。酸性のものばかりに偏らないよう、チーズや米、肉、野菜などバランスのよい食事を心掛けることも大切です。ちなみに、和食のメニューは全体的に酸性が弱いです。

歯の再石灰化を促すフッ素入りの歯磨き粉や洗口液の使用も効果的です。日々のささやかな心掛けでリスクを下げられるので心配し過ぎず、食事を楽しんでください」

(オトナンサー編集部)

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宮本日出(みやもと・ひずる)

歯科医師、歯学博士

1965年、金沢市生まれ。愛知学院大学歯学部を卒業後、石川県立中央病院、豪アデレード大学、明海大学を経て、2007年、埼玉県志木市で幸町歯科口腔外科医院を開業し、現在に至る。2015年から、埼玉医科大学麻酔科非常勤講師。2017年、立教大学大学院でMBA取得。金沢大学医学部で感染制御学を研究したこともあり、「えっ!? まだ始めていないんですか? お口からの感染予防」(ギャラクシーブックス)など多数の臨床関連著書のほか、「サンタはなぜ配達料をとらないのか?」(VOICE)など仕事論の著作も執筆。

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