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自粛中、ストレスの原因だった子ども…35歳父の“発想転換”が生んだ家族の絆

夫に対する我慢の限界

 Bさん(37歳、パート女性)は日頃から、夫に小さな不満がありました。

「『物を片付けず、出したら出しっ放し』『休日、私と子どもに何も告げずにパチンコに行く』といった行動など細かい点ですが、嫌だなと思っている部分が結構ありました」(Bさん)

 自粛生活で、Bさんは出勤日が大幅に減り、ほぼ失業状態。夫は在宅勤務となりました。3歳の息子の保育園も休みとなり、一家そろってほぼ毎日一日中、一緒に過ごすことになりました。

「それまでは黙って私が片付けていたのですが、自粛生活で四六時中、夫の嫌な部分を見せつけられて、我慢の限界を迎えました」

 ある日、夫が冷蔵庫の牛乳を出しっ放しにしたとき、Bさんは夫を注意しました。最初は夫も「はいはい」と返事をしつつ従っていましたが、出しっ放しが直ることはなく、あるとき、Bさんの注意に返事をせず、大きな物音を立てて片付け始めたのです。

 Bさんは「私の言い方が気に入らなかったのなら、きちんと言って」と言いましたが、これにも返事はなく、足音荒く、無言で自室に引き上げていきました。

「『今、この状態で、夫と一緒に生活するのは無理だ』と思いました。(私の)仕事が激減したことで、精神的にも不安定だったのかもしれません」

 Bさんは子どもを連れて、隣の県にある実家に帰省しました。2カ月、実家で過ごし、子どもの保育園が再開するめどが立って、ようやく自宅に戻ってきました。

「実家でだいぶ気持ちが落ち着いたのと、夫の在宅勤務が減って四六時中、一緒に過ごす必要がなくなったので、現在はコロナ前のように生活できています。変わったのは、夫への不信感が深まったことでしょうか…」

 以前から、嫌だと感じていた夫の欠点が、長い自粛生活によってクローズアップされてしまった格好です。

 不満のある部分を黙認しつつ、寄り添って生きるのも家族の一つの在り方です。むしろ、多くの人が家族に対して大なり小なり、そうした思いを抱えているのかもしれません。しかし、不満が我慢できないところまで達したとき、取れる選択肢は幾つかあります。

「離婚や別居などの別離」「不満を相手にぶつける(自己の発散、および、その上での解決を目指した話し合い)」「いま一度自分を省みて、改善できる部分を考える」などです。どれも相応のエネルギーを必要としますし、そのときは苦しいかもしれません。しかし、次のステップへと進むための最初の一歩にはなります。

 Aさんはコロナ禍をきっかけに子どもとの向き合い方を改めて、より強い家族の絆を得ることに成功しました。Bさんはまだ、不満を不満と感じている段階ですが、今後の出方によっては次のステップが訪れることもあるでしょう。

(フリーライター 武藤弘樹)

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武藤弘樹(むとう・こうき)

フリーライター

早稲田大学第一文学部卒。広告代理店社員、トラック運転手、築地市場内の魚介類卸売店勤務などさまざまな職歴を重ね、現在はライターとミュージシャンとして活動。1児の父で、溺愛しすぎている飼い猫とは、ほぼ共依存の関係にあるが本来は犬派。趣味はゲームと人間観察。

geetara610@gmail.com

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