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ご先祖さまへの思いを込めて? 義務感から? 20代~50代の「お墓参り事情」を聞いてみた

秋のお彼岸にお墓参りをする人も多いかと思います。20代から50代の人たちに、それぞれの「お墓参り事情」を聞いてみました。

それぞれの「お墓参り事情」は?
それぞれの「お墓参り事情」は?

 9月23日は秋分の日で、この日と前後各3日間が秋のお彼岸となります。お彼岸にはご先祖さまを供養するのが一般的な習わしで、お彼岸にお墓参りをする人も多いかと思います。近年はコロナ禍による帰省の自粛や、墓じまいをする人の増加によって、「お墓参り事情」が昔とやや違う印象もあります。皆さんの実情を聞いてみました。

子どもの頃から習慣に

「年に3回、春彼岸とお盆、祖父の命日に、県内に住む親戚一同でお墓参りに行きます。以前は秋彼岸にも行っていましたが、親戚の多くが高齢となり、『移動が大変なので少し楽をしよう』と、お盆に日程が近い秋彼岸は行かないことになりました。ただ、祖母は祖父の月命日に毎回行っていて、親戚の誰かがそれに付き添っています。県外に住むいとこもいますが、夏休みに帰省するので、その時は一緒にお墓参りに行きます。

コロナ禍の自粛期間中は、親戚で集まらず、家族単位で別々にお墓参りをしていました。今年のお盆に、久しぶりに親戚で集まることができました。

お墓参りは子どもの頃から当たり前にしてきているので、この習慣がなくなることは想像できません。今後は私と私世代のいとこが引き継いでやっていくことになると思います」(32歳女性)

 お墓などの情報提供サイト「ライフドット」が2020年9月、「直近3年間でお墓のことを考えたことがある」18歳~35歳の男女を対象に実施したアンケート (サンプル数610)では、「年に1回以上お墓参りに行く」と答えた人が74.1%、「お墓が必要」と考える人は63.9%という結果でした。

 時代の流れによって形を変えてきているお墓参り事情ですが、若い世代の間でも「お墓参りは踏襲すべき習慣」と考える人が多いことがうかがえます。

「背筋が伸びる」20歳女性

 引き続き、お墓参りに前向きな気持ちを抱いている人の話を聞いてみましょう。

「夏休みに帰省してお墓参りをします。妻や子どもは好きにさせていて、ついてくることもあります。子どもが小さい頃はよく一緒に連れていきましたが。

両親が高齢になってきたためと、自分が長男であるため、『自分がお墓の維持をしっかりしなくては』という使命感があります。実際は、県外に住む私ではなく、両親の近くに住む弟がかなりの部分を担ってくれているのですが。

お墓参りで集まった親戚に会うのは楽しいです。みんなで集まる機会はなかなかないので、ご先祖さまがその機会を提供してくださっているのだとなんとなく感じることもあり、自分の中でお墓参りは『ほっこりするイベント』です」(58歳男性)

「1人暮らしを始めてからは、正月に帰省した時にしかお墓参りに行きません。家族と親戚は何かと忙しそうなので、お墓参りは1人で行きます。お墓に水をかけ、花をお供えして、手を合わせて、顔も知らないご先祖さまにこの1年の出来事を報告し、これからの1年をどう過ごしたいかの決意表明をします。

手を合わせている間は『ご先祖さまに自分を見てもらえるように』と背筋が伸びるのを感じます。普段は改めて自分の1年を振り返ったり、1年の抱負を考えたりということはまずしないので、お墓参りが自分にとってすごくいい機会になっています」(20歳女性)

 お墓参りを「やらなければならない」と考えると、義務感が先に立ってお墓の維持もお参りも大変なものに感じられてしまいますが、お墓参りを自分にとってポジティブなものとして捉えられれば、お墓にまつわる種々の手間や苦労が小さく感じられるのかもしれません。

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武藤弘樹(むとう・こうき)

フリーライター

早稲田大学第一文学部卒。広告代理店社員、トラック運転手、築地市場内の魚介類卸売店勤務などさまざまな職歴を重ね、現在はライターとミュージシャンとして活動。1児の父で、溺愛しすぎている飼い猫とは、ほぼ共依存の関係にあるが本来は犬派。趣味はゲームと人間観察。

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