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わが家の防災、何をしている? していない? 実際のところを聞いてみた

9月1日の「防災の日」を機に、「わが家の防災」について、さまざまな人に実際のところを聞いてみました。

震度7を2回記録した熊本地震から約1カ月後の熊本城(2016年5月、時事)
震度7を2回記録した熊本地震から約1カ月後の熊本城(2016年5月、時事)

 9月1日は「防災の日」です。およそ100年前に関東大震災が起きた日であることなどにちなんで、1960年に制定されました。「防災の日」およびその前後の「防災週間」(8月30日~9月5日)には、防災意識を高めるべく各地でさまざまな催しや取り組みが行われます。筆者も昔、9月1日は毎年学校で避難訓練があったことをよく覚えています。

 近年は大きな地震が多く、防災意識が改めて高まってきているように感じられます。皆さんは実際、災害に備えているのか、いないのか。具体的にどのようなことをしているのか…などなど、皆さんの「防災についてのあれこれ」をご紹介したいと思います。

災害時、なぜか興奮気味の「お父さん」

「食料や水などの確保は私が、家具の転倒防止のためのちょっとしたDIYは夫が、それぞれやりました。特に話し合いはせず、自然にそういう分担になったのですが、普段もなんとなく『料理は私、DIYは夫』でやっているので、それが防災にも表れたようです

夫はハザードマップも入念に確認していて頼もしく思える一方、防災に関する何かをやっていると、『一家を守らなきゃ』という使命感からアドレナリンが出るようで、興奮している様子が面白く思えました。うちの父も昔、台風が来た時に興奮して家族に指示していたので、その姿が今の夫と重なって、二重におかしかったです」(40代女性)

「災害時に興奮するお父さん」は各所で確認されており、筆者自身もこれに該当する気がします。冷静な人から見るとそれが滑稽に映る場合もありますが、災害を安全・適切に乗り越えようというリーダーシップが、周囲の大きな助けになることも少なくありません。

「お父さんの防災」ということに関連して、こんなエピソードもありました。

「大規模停電が起きて、私の家族はおよそ1週間、親戚の家に避難しました。それをきっかけに、わが家では防災意識が一気に高まりましたが、その時点では、防災グッズはほとんど持っていませんでした。

すると夫は、防災という大義名分のもと、前から欲しがっていたキャンプ用品一式を買いそろえようとしました。私自身も防災グッズは充実させた方がいいと考えていたので、夫に『値が張らない、安いものならいいよ』と条件を出しました。

夫は大喜びしてキャンプ用品を買いそろえました。おかげでわが家は避難生活への備えは万全です。それに、一家でキャンプという新しい趣味もできました(笑)」(30代女性)

 防災が、家族の生活を豊かにする一助にもなったようです。

「きっかけ」が必要な人も

 マーケティング・リサーチ会社のクロス・マーケティング(東京都新宿区)が昨年実施した調査によると、「防災対策が必要だと感じている」と答えた人が90.4%だったのに対し、「実際に防災対策を行っている」と答えた人は51.5%にとどまりました。約4割の人が「やらなきゃと思ってはいるけど、やらない・やれない」というのが実情です。防災対策になかなか着手できない人は多いですが、何かきっかけがあれば、意外とすんなり着手できるのかもしれません。

 実際に、こんな声がありました。

「東日本大震災が起きてから、災害時の家族の集合場所を決めました」(20代女性)

「防災は『やらなきゃ』と思いながらも、ずっとやってきませんでした。しかし子どもが生まれると、『簡単にできるはずの準備を怠ったことで、この子につらい思いをさせることなどあってはならない』という意識が強くなり、一気に態勢を整えました。

一番厳密に行ったのは家具の転倒防止です。子どもが小さいうちは、家具の転倒が大事故につながりかねないので、家具の配置場所から見直しました」(30代男性)

 そのほか、防災にまつわるエピソードには、こんなものもありました。

「非常用の保存食の賞味期限が近かったので、家族で消費して新しいものを買ったのですが、息子がそれがすごくおいしかったようで、『賞味期限まだ?』とよく確認してくるようになりました。

1~2年に1度くらいの少ない頻度で購入するので買い忘れてしまうこともあったのですが、息子に聞かれるようになってからは、忘れずに買っています」(50代女性)

 非常食の味がとりわけ優れているわけではないと思われますが、「非常食を食べる非日常感」は、子どもが特に喜びそうです。

「非常食などが入った避難用バッグを物置に入れています。何かあったらそのバッグを持って避難すればいいのですが、ほかの物が段々増えてきて、今バッグは物置の奥の方に埋もれています。『すぐバッグを出せるように片付けなくちゃ』という意識は常にありますが…」(40代男性)

 これも「あるある」でしょうか。避難用バッグは普段ほぼ使う機会がないため、時間がたつにつれて、ほかの物に埋もれていってしまいがちです。

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武藤弘樹(むとう・こうき)

フリーライター

早稲田大学第一文学部卒。広告代理店社員、トラック運転手、築地市場内の魚介類卸売店勤務などさまざまな職歴を重ね、現在はライターとミュージシャンとして活動。1児の父で、溺愛しすぎている飼い猫とは、ほぼ共依存の関係にあるが本来は犬派。趣味はゲームと人間観察。

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