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自粛中、ストレスの原因だった子ども…35歳父の“発想転換”が生んだ家族の絆

新型コロナウイルスの自粛期間中、在宅勤務などで家族が一緒にいる時間が増えましたが、家族不和に陥るケースもあり、単純に喜ばしいわけではなかったようです。

在宅勤務が原因で新たな問題も?
在宅勤務が原因で新たな問題も?

 新型コロナウイルスの影響による在宅勤務や休校措置が数カ月続き、家族一緒に過ごす時間が増えた家庭も多いと思います。しかし、それが単純に喜ばしいことかというと、「コロナ離婚」が話題になったように、一概にそうとはいえません。自粛期間中、家庭不和に陥ったケースも散見されるからです。

 では、どういう経緯で家庭不和になったのか、回避するためにはどうすればいいかなど、実際のケースを見ながら考えたいと思います。

きょうだいげんかの声を聞かされ…

 緊急事態宣言を受けて、Aさん(35歳、男性)は、会社から週に3日の在宅勤務を命じられました。妻も同様で、6歳の娘と4歳の息子の面倒を見るために、どちらかが必ず家にいるよう調整しました。

「当初は『平日も子どもたちと一緒にいられる』と内心喜んでいました」(Aさん)

 しかし、実際にスタートしてみると、予想より難しいと分かってきます。

「仕事の合間に子どもの相手や世話をするつもりだったのですが、あまり手がかからない年齢とはいえ、牛乳をこぼしたり、きょうだいげんかを始めたりと、いつも突発的で、仕事を中断させられることがしばしばありました」

 やがて、新たな問題が出てきました。

「在宅勤務になって1カ月たった頃だと思いますが、きょうだいげんかの頻度が増えてきたのです。コロナ以前にはなかったような激しいけんかが日に1、2回。小さなけんかは数知れずです。

『子どもたちも自粛でストレスをため込んでいるから仕方ない』と思いたいのですが、四六時中けんかの声を聞かされ、こちらもイライラしてきました。『いい加減にしろ!』と声を荒らげてしまったことがあり、たまたまその日、在宅勤務だった妻に『大きな声を出さないで!』と注意され、それをきっかけに妻と数日間、口を利かない『沈黙の夫婦げんか』に発展したこともありました」

 家族がそれぞれイライラを募らせ、衝突する機会が増えてしまったAさん一家。「このままではよくない」と考えたAさんが取った対策は…。

「まず、『ストレス発散できない子どもたちが一番かわいそうだ』と思うことにしました。そう思うことで、子どもと向き合う気持ちに余裕が生まれました。仕事以外の時間、子どもと目いっぱい遊ぶことも心掛けました。なるべく体を使って疲れそうな遊びをチョイスして。

一緒にダンボールでアスレチックを作って遊んだのは特によかったです。きょうだいげんかの頻度はすごく減った…とは言い難いですが、日に1回、小さなけんか程度に減りました。家族の信頼関係は前より強くなった気がしています」

 自らも仕事を抱えている中で、考え方を“子ども中心”にシフトするのは難しいことだと思いますが、実現できれば、子どものためとなるばかりでなく、結果的に自分のストレスを減らす方策となります。Aさんの着眼点や努力がお見事だったといっていいでしょう。

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武藤弘樹(むとう・こうき)

フリーライター

早稲田大学第一文学部卒。広告代理店社員、トラック運転手、築地市場内の魚介類卸売店勤務などさまざまな職歴を重ね、現在はライターとミュージシャンとして活動。1児の父で、溺愛しすぎている飼い猫とは、ほぼ共依存の関係にあるが本来は犬派。趣味はゲームと人間観察。

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