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「貧困老人」とはどのような人たちなのか

「本当に苦しい」のは高齢者全体の6~7%?

 内閣府の「高齢者の経済生活に関する意識調査」(平成23年)によると、65歳以上で「家計が苦しく、非常に心配である」と回答した人は6.6%。総務省の「家計調査」(平成25年)にも、貯蓄額が100万円未満の世帯が6.3%とあります。この辺りの統計を見ても、おそらくは高齢者全体の6~7%程度の方が、「本当に生活が苦しい貧困層」と言えるのだと推測できます。

 そして、この6~7%の方々には、以下のような2つの傾向があります。

1.厚生年金に加入していない、もしくは中途脱退

2.結婚していない

 まず厚生年金に加入しており、60歳まで保険料を納めていれば、毎月20万円前後の年金を受け取ることができます。また、結婚していれば、配偶者が死亡しても遺族年金があるためそれなりの収入が見込めます。つまり貧困老人になりにくいと言えます。

 つまり、「会社勤め(厚生年金)で結婚しており、60歳まで働く」という3条件こそが、日本人のモデルケースであり、社会保障制度もそれに合わせて設計されてきたのです。そこからドロップアウトし、さらに、資産形成にも失敗した人が貧困老人の“正体”ではないでしょうか。

 厚生年金に加入せず、国民年金だけであれば、月の支給金額は満額でも6万4000円。途中、支払っていない期間があれば減額されます。また、65歳以上の単身世帯では男性の3割、女性の約半数が「貧困」というデータもあり、「厚生年金未加入、未婚」と貧困老人には密接な関連性があると言えます。

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加藤圭祐(かとう・けいすけ)

あおばコンサルティング代表取締役、1級FP技能士、宅建士

大手外資系生命保険会社にて11年間、個人・法人のコンサルティング業務に従事。2015年に株式会社あおばコンサルティングを設立。日本初の、チャットでのお金のサービス「みかづきナビ」を開始。現在ではzoomも活用し、FP相談や保険相談で顧客の課題解決に取り組んでいる。みかづきナビ(http://www.mikazuki-navi.jp/)。

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