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高2からひきこもりの45歳息子、年金はずっと未納で…案じる母に残された選択

ひきこもりで、これまで、国民年金保険料を納めていなかった人が将来的に少しでも年金を増やすためには、どうすればよいのでしょうか。専門家が解説します。

年金保険料が未納、どうする?
年金保険料が未納、どうする?

 2021年時点の法律に基づくと、未納の国民年金保険料は納付期限から2年以内であれば、さかのぼって支払いができ、将来の老齢基礎年金(国民年金)に反映させることができます。言い換えると「納付期限を2年以上過ぎた保険料は追納できず、未納状態のままになってしまう」ということです。

 保険料の未納があると、将来、もらえる老齢基礎年金はその分だけ減額されてしまいます。「将来に備え、少しでも国民年金を増やしたい」と望んでいる場合、どのような対策が取れるのでしょうか。ひきこもりの男性の事例をもとに解説します。

「自分で何とかする」と言ったものの…

 筆者の元に相談に訪れた母親(70)は、ひきこもりの長男(45)の国民年金保険料のことで頭を悩ませていました。

「長男は高校2年のときに不登校になり、そのまま、ひきこもるようになりました。長男が20歳のときに国民年金の加入通知が届きましたが、長男本人が『自分で何とかするから口出ししないで』と言ってきたので、親は何も干渉しませんでした。『長男が自分で手続きをするのだろう』と思っていたからです」

 母親は一息つき、話を続けました。

「でも、長男が40歳になる頃に届いた通知で、国民年金保険料が20歳の頃からずっと未納だったことが分かったのです。長男としては、いつかどこかで、免除などの手続きをしようとは思っていたのでしょうが、何もせずにそのままになっていたのです。『こんなことなら、長男だけに任せなければよかった』と今も後悔しています…」

 保険料がずっと未納状態であると通知を受け、驚いた両親はすぐさま、国民年金保険料の未納部分を過去10年前までさかのぼって、まとめて支払うことにしたそうです。当時は特別な法律(時限立法。有効期限は2012年10月1日から2015年9月30日)で、過去10年前までの未納部分は支払うことができたからです。しかし、当時の特別な法律でも、10年よりも前の未納部分はもう、どうすることもできませんでした。

付加年金への加入も視野に

 母親は筆者に、こう相談しました。

「長男の将来に備え、国民年金はできるだけ増やしておきたいと思っています。何かよい方法はありませんか」

「そうですね。それなら、『国民年金の任意加入をして、老齢基礎年金を増やす』といった方法はどうでしょうか」

 筆者はそう言い、「国民年金の任意加入」について説明しました。国民年金は20歳以上60歳未満で、厚生年金保険に入っていない人が加入の対象ですが、対象外の年齢でも加入できる制度があるのです。

「国民年金の任意加入には『60歳から65歳までの5年間加入して老齢基礎年金を増やす』といったものがあります。息子さんの未納期間は10年程度あるので、その半分の5年間分は補填(ほてん)することができます」

 説明を受けた母親は、こう質問しました。

「それだと、未納が5年ほど残ってしまいます。65歳以降も任意加入はできないのでしょうか」

「息子さんの場合、65歳までになります。65歳から70歳までさらに任意加入できる人は、年金の加入期間が10年に届いていない人(受給資格がない人)といった特別なケースに限られているからです」

 それを聞いた母親は残念そうに肩を落としました。

「そうなんですね…国民年金を満額にすることは難しそうですね。他に終身保障で年金を増やす方法はありませんか」

 筆者は念のため、次のような質問をしました。

「ちなみに、息子さんは付加年金にも加入されていますか」

「いいえ。そのような年金には加入していません。一体どのようなものなのでしょうか」

 そこで、筆者は付加年金についても説明しました。

「国民年金の第1号被保険者(自営業や学生、無職の人など)で国民年金の保険料を支払っている場合に、上乗せで加入できる年金です。毎月400円の付加保険料を支払うことで、65歳から年間で『200円×付加保険料納付月数』の付加年金を受け取ることができます」

 そこまで説明した筆者は用紙に次のような計算式を書きました。

息子さんは現在45歳
現在から65歳までの20年間、付加年金にも加入したとする
支払保険料は合計9万6000円(400円×12カ月×20年)
65歳から受給できる付加年金 年額4万8000円(200円×12カ月×20年)

「受給できる金額はそれほど多くはなりませんが、2年で元が取れるので、かなりお得な年金と言えます。繰り返しになりますが、付加年金に加入するには、国民年金保険料を支払っていることが条件です。免除や猶予をしている場合は加入できません。もし、息子さんが60歳から65歳まで、国民年金の任意加入をした場合、付加年金にも加入し続けることができます」

「そのような年金があるのですね。知りませんでした。付加年金はどこで手続きをすればよいのでしょうか」

「市区町村役場の年金課、または年金事務所の国民年金課です。手続きは窓口で書類を提出する方法のほかに、郵送でもできます。必要な物は電話などで事前に問い合わせるようにしてくださいね」

「分かりました。長男と一緒に市役所に行って、本人に書類を記入してもらうようにします。親亡き後に備えて、少しでも自分で行動できるようにしておきたいと思っていますので」

 母親の表情には強い決意がみなぎっていました。

 ひきこもりのお子さんにとって、国民年金は大事な収入源になります。お子さんの国民年金の加入状況は親子で確認しておきたいところです。加入状況は毎年、誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」か、日本年金機構が運営しているウェブサイト「ねんきんネット」で確認できます。もし、過去2年以内に保険料の未納があるようなら、さかのぼって支払う、免除や猶予の手続きをするといった行動に移すようにしましょう。

(社会保険労務士・ファイナンシャルプランナー 浜田裕也)

浜田裕也(はまだ・ゆうや)

社会保険労務士、ファイナンシャルプランナー

2011年7月に発行された内閣府ひきこもり支援者読本「第5章 親が高齢化、死亡した場合のための備え」を共同執筆。親族がひきこもり経験者であったことから、社会貢献の一環としてひきこもり支援にも携わるようになる。ひきこもりの子どもを持つ家族の相談には、ファイナンシャルプランナーとして生活設計を立てるだけでなく、社会保険労務士として、利用できる社会保障制度の検討もするなど、双方の視点からのアドバイスを常に心がけている。ひきこもりの子どもに限らず、障がいのある子ども、ニートやフリーターの子どもを持つ家庭の生活設計の相談を受ける「働けない子どものお金を考える会」メンバーでもある。

コメント

1件のコメント

  1. こういうの見るとDaigoだかなんだかのメンタリストのいう事も一理ある気がしてきますね
    そんな年金額で引きこもりが続けられるわけないんですから、最終的に生活保護でしょう
    納税はもちろん、社会に何も貢献していないのに
    精神的な病気であったとしても治療させようともしていないのに
    ただ親が子供を甘やかしてきただけにしか見えない
    事情がある?やりたくてもできない?できなかった?
    世の中には引きこもりたくても引きこもれない環境の子供もいるんですよ
    そういう子供はどうしてるんでしょうね?
    引きこもれる場所があるからそこに甘えてしまうんです
    そうした甘えを許したのは親でしょう?だったら最後まで親の責任で面倒みるのが当然では?
    自分の死後、子供の生活が心配なら、心配ないようお金を残してやればいいだけの事
    この記事にしても、最初から年金を当てにしてて、もらえない事がわかった親が代わりの手段の相談をしている時点で、全く同情の余地がない
    保障をうけるのは国民の権利だから?権利は責任を果たしたうえで、少なくとも果たそうとする意思がある場合だけに主張できる事だと思いますがね
    年金だの生活保護だの、なんらかの社会保障を受けたいなら、先に自立を試みさせるべきでしょう
    引きこもりは精神の病気だというなら、生活費の保障だけじゃなく治療する援助をしたらどうですか?
    皆で収めた税金を、何もしていない輩になんとかむしり取らせてやろうとしている風に見えて不愉快ですね