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自分の遺体を医学のために――「献体」で官学連携、その意義と課題とは

今回の取り組みは「画期的」

 それでは、今回の取り組みの背景や今後の展望はどのようなものでしょうか。

 廣橋さんによると、献体の希望者は年々増加しているそう。本人の動機としては「医学の役に立ちたい」との思いから申し込む人が多いといいます。また「火葬の費用がかからない」といった経済的理由で希望する人もいるようです。

 そうは言っても、家族全員の同意が必要で、死亡時に家族が大学に連絡しなければならないなど、「ハードルは低くはありません」。

 そのため、廣橋さんは「今回の横須賀市の取り組みは、身寄りのない人でも献体登録がしやすくなるという意味で画期的です」と話します。

必要数との“バランス”も問題に

 ただ一方ではこんな問題も――。

 献体が増えすぎると、大学の遺体保管場所が不足する可能性があるとのこと。さらに、解剖後の遺骨は基本的に遺族に返されますが、「身寄りがない人の場合はおそらく大学の納骨堂に納められるため、キャパシティーの問題から、受け入れ数を制限している大学もあるようです」。

 献体の希望者が増えてきたことで、「必要数とのバランス」という新たな問題も生じているそうです。

(オトナンサー編集部)

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廣橋猛(ひろはし・たけし)

緩和ケア医・内科医(日本緩和医療学会緩和ケア普及啓発WPG員、日本在宅医療学会代議員、日本内科学会認定内科医など)

私立麻布高校、東海大学医学部卒。東京大学医学部付属病院、三井記念病院における内科研修、亀田総合病院における緩和ケア・在宅医療研修を経て、現職は永寿総合病院がん診療支援・緩和ケアセンター長。病院でも在宅でも切れ目なく診療する“二刀流スタイル”で、これまで2000人以上の患者のみとりに関わった経験を踏まえ、終末期患者が希望する場所で過ごせる社会づくりについて情報発信している。著書に「素敵なご臨終 -後悔しない、大切な人の送りかた」(PHP新書)がある。ツイッター(@hirohashi_med)。

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