オトナンサー|暮らしに役立つライフスタイルメディア

  • HOME
  • 医療
  • 年金、TPP…難問山積の国会で「がん対策基本法」を忘れていないか

年金、TPP…難問山積の国会で「がん対策基本法」を忘れていないか

TPPなどの話題で持ち切りの国会。そのせいか、あまり報じられることはありませんが、とある重要法案の成立が危ぶまれています。それは10年前、自身もがん患者であった故・山本孝史元参院議員の尽力で成立した「がん対策基本法」の改正案です。

「がん対策基本法」の改正を待ち望む人は多い

 現在開会中の国会に関する報道を見ていると、環太平洋経済連携協定(TPP)やトランプ次期米大統領などの話題で持ち切りです。

 しかし、その影に隠れて、大勢のがん患者が待ち望んでいる重要な法案が可決されるかどうかの瀬戸際にあることは、あまり知られていないかもしれません。

 それは「がん対策基本法」改正案です。同法は今から10年前、自身もがん患者であった民主党の故・山本孝史元参院議員が国会で成立を訴え、その後、与野党が一致団結して、実現を見た法律です。

 この法律によって国のがん対策は進み、全国に拠点病院が整備され、どこにいても標準的ながん治療が受けられるようになりました。この10年間で、仮にがんになっても長生きできるようになったのは、その成果と言っても過言ではありません。

 がんは、早期発見と治療によって長く付き合っていける病気になったのです。

がん患者に理解のない職場が多い

 ところで、がん患者にも家庭があり、仕事があります。かつては、がん患者になると、仕事を続けられずに、病気と向き合うだけの人生になってしまうことが当然の認識でした。

 しかし現在は、がん患者であっても社会で普通に生きていく時代です。働きながらがん治療を行っている患者は30万人超。にもかかわらず、がんになった場合、そのうちの1/3は職を失っているとされています。

 つまり、がん患者の苦労が理解されない職場がまだまだ多く、バックアップを得られていないのが現状なのです。

1 2

廣橋猛(ひろはし・たけし)

医師(緩和ケア医・内科医)

東京都港区出身。私立麻布高校、東海大学医学部卒。東京大学医学部付属病院、三井記念病院における内科研修、亀田総合病院における緩和ケア・在宅医療研修を経て、現在は永寿総合病院にがん診療支援・緩和ケアセンター長として勤務。その傍ら、近隣の在宅療養支援診療所から、在宅で過ごしたい患者を往診している。病院でも在宅でも切れ目なく診療する“二刀流スタイル”で、これまで2000人以上の患者の看取りに関わった経験を踏まえ、終末期患者が希望する場所で過ごせる社会作りについて情報発信している。日本内科学会認定内科医、日本プライマリケア連合学会認定医、がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修指導医、日本緩和医療学会会員、日本在宅医学会会員。