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年金、TPP…難問山積の国会で「がん対策基本法」を忘れていないか

雇用主に配慮があれば仕事を続けられる

 たとえば、働き盛りのあなたががんを患い、それを治療できたとしても、仕事を失ってしまったらどう感じるでしょうか。仕事は生きる手段であり、生きる目的でもあります。私たちが、仕事のできない人生に意味を見いだせず、苦しい思いをすることは何としても避けたいものです。

 通院治療しながら、仕事を続けられる配慮。あるいは、治療のためにいったん休職してもその後、復帰できるような配慮。こうした配慮が雇用主にあれば、がん患者は仕事を続けながら、生きていけるのです。

「検診の着実な実施」を盛り込んだ改正案

 今回のがん対策基本法改正案には、事業者に対して雇用継続の努力を求める文言が盛り込まれています。まさに、社会で生きながら、がんと立ち向かっている患者を支える重要法案と言えるのです。

 また改正案には、長生きできるがんが増えてきた一方で、これまで後回しにされてきた「希少がん」「難治がん」の対策や、早期発見につながる検診の着実な実施などが盛り込まれています。

 がんは今や、国民の2人に1人がかかる病気。誰しも「身近にがん患者がいない」ということはまず考えられない時代なのです。

 改正案は先日、参議院を全会一致で通過しましたが、まだ衆議院での審議が残っています。しかし、その他の法案に挟まれ、今国会での可決が微妙な情勢と伝えられています。がん患者を支える重要法案が一刻も早く、可決・成立することを望みます。

(永寿総合病院医師 廣橋猛)

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廣橋猛(ひろはし・たけし)

医師(緩和ケア医・内科医)

東京都港区出身。私立麻布高校、東海大学医学部卒。東京大学医学部付属病院、三井記念病院における内科研修、亀田総合病院における緩和ケア・在宅医療研修を経て、現在は永寿総合病院にがん診療支援・緩和ケアセンター長として勤務。その傍ら、近隣の在宅療養支援診療所から、在宅で過ごしたい患者を往診している。病院でも在宅でも切れ目なく診療する“二刀流スタイル”で、これまで2000人以上の患者の看取りに関わった経験を踏まえ、終末期患者が希望する場所で過ごせる社会作りについて情報発信している。日本内科学会認定内科医、日本プライマリケア連合学会認定医、がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修指導医、日本緩和医療学会会員、日本在宅医学会会員。