コンビニ「セルフレジ」導入に立ちはだかる大きな壁
コンビニ大手5社が、2025年までに「セルフレジ」を導入すると大きく報道されました。しかし、実現には大きな壁も。それは、全商品に貼り付けるICタグの問題です。

セブン-イレブン・ジャパンなどコンビニ大手5社が2025年までに、客が自ら会計する「セルフレジ」を国内全店舗に導入することが報じられました。これを受けて、インターネット上では「結構物騒ですね」「これはこれで問題な気が」「絶対トラブルの元」などの否定的な投稿が相次いでいます。
特に話題を呼んだのは、全商品に貼り付けるというICタグの生産コストについて。報道によると、業界では1枚あたり10~20円程度のコストを見込んでいることから、少額商品も数多く取り扱うコンビニで“導入の壁”になっているといいます。
オトナンサー編集部では、その課題や問題点について、市場調査会社「エヌピーディー・ジャパン」のシニアアナリスト、東さやかさんに聞きました。
多くのメーカーが関わるため、課題山積
東さんによると、現在のコンビニの客単価は600円前後で、このうち中食(なかしょく)の購入割合は60~65%程度。中食とは、調理済みの弁当やお総菜などを購入し、自宅で食べる食事形態を指します。
「2016年のコンビニ全体における中食の客単価は322円(同社)で、平均購入品数は2.1品でした。1品あたり153円となり、10~20円のICタグはその約1割にもなります。こうしたことから、経費を今後どのように負担していくのか、いかにコストを下げていくのかが、最大の課題となるでしょう」
ICタグは、現在のバーコードに代わる次世代の技術とされており、生産性向上のために、非常に有益な技術です。バーコードのように、一度、市場の「スタンダード」になれば、在庫管理や生産、販売の効率化に大きく貢献し、コスト削減につながると考えられます。しかし、まだ課題はあるようです。
「セルフレジ導入にあたって、すべての商品にICタグを付けなければならず、それをどこが行うのかといった話になります。メーカーやベンダーが対応するとなると、各社足並みをそろえるだけでも難しく、逆にコンビニ側で付けるとなれば、どの流通段階で付けるかによって人件費や設備などがかかり大変です。ファーストリテイリングの子会社『GU』がICタグを導入していますが、GUはすべて自社製品のため、導入が比較的容易なのです」
コンビニには、多くのメーカーやベンダーが関わっているため、課題は山積みです。
セルフレジ化することで、キャンペーン時に割引券やくじを渡すことができないことや、コンビニの売り上げの10%以上(同社)を占めるタバコや酒類についても、どうやって未成年に対応するか、などの課題もあるようです。
(オトナンサー編集部)
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