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NISAは年寄りが投信を買ってるだけ? 非課税を生かす「本当の時代」はこれからだ

高齢者が投信を買う構図、「中身」は理解されているのか

 最後に「何に投資しているのか」という視点からNISAを見てみましょう。

 総額5兆8597億円のうち、上場株式は1兆88867億円で全体の32.2%。最大は投資信託の3兆8381億円で65.5%、残りは不動産投資信託(REIT)が0.9%、上場投資信託(ETF)1.4%です。

 手数料が安いETFがわずか1.4%で、信託報酬がかかる投資信託が65.5%という結果に、大きな違和感を感じます。

 これは恐らく、銀行が窓口で高齢者に対し、NISA口座の開設から投資信託の販売までをセットで提供しているためでしょう。明確なデータはありませんが、投資信託3兆8381億円のうちの大部分が銀行の窓口経由と思われます。

 そもそも、NISAを始めた政府のもくろみは「預金から投資」。より多くの国民に株式市場に参加してもらおうという意図がありました。実際、6兆円近いお金が株式や投資信託に流れ込んでいます。そして投資する人の半分が60歳以上の高齢者です。

 政府の思惑は「当たった」とも言えますが半面、投資先を見ると、投資信託が全体の2/3を占め、「中身を理解した上での投資」なのかどうかには疑問符がつきます。本来、投資には知識が必要。国民に投資をさせたければ、同時に金融教育も推進すべきです。

 非課税という“アメ”は甘いのか、本当はしょっぱいのか――。NISAの今後を見守るしかありません。

(株式会社あおばコンサルティング代表取締役 加藤圭祐)

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加藤圭祐(かとう・けいすけ)

あおばコンサルティング代表取締役、1級FP技能士、宅建士

大手外資系生命保険会社にて11年間、個人・法人のコンサルティング業務に従事。2015年に株式会社あおばコンサルティングを設立。日本初の、チャットでのお金のサービス「みかづきナビ」を開始。現在ではzoomも活用し、FP相談や保険相談で顧客の課題解決に取り組んでいる。みかづきナビ(http://www.mikazuki-navi.jp/)。

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