秋冬の「汗」、2人に1人が気にしている! 夏の汗との違いや効果的ケアのポイントは?
「秋冬の季節でも汗をかきやすい」と感じている人が2人に1人いることが判明。秋や冬の汗について、医師に聞きました。
花王リセッシュ「汗とニオイに関する調査」(全国の働く男女800人が対象)の結果が発表されました。調査では「秋冬の季節でも汗をかきやすい」と感じている人が2人に1人いることが判明。秋や冬の汗について、ネット上では「寒い時期も暖房で汗だく」「汗の臭いが気になる」などの声が上がっています。
著書に「日本人はなぜ臭いと言われるのか」(光文社)などがある医師の桐村里紗さん(内科医・認定産業医)に、秋や冬の汗について聞きました。
冬場は汗腺が休眠状態になる
Q.調査では、汗の臭いには男性よりも女性の方が敏感であることも分かりました。これは事実でしょうか。
桐村さん「嗅覚の研究は、他の感覚器官と比べて研究が十分には進んでいませんが、ブラジルのロバート・レント氏らの研究(※1)によると、男性よりも女性の方が脳の臭いを感じる領域である『嗅球』の細胞数とニューロン数が多いと報告されています。
実際に、55歳以上で亡くなった男性7人と女性11人のニューロン数を測定すると、嗅球の細胞総数は女性1620万、男性920万(43.2%の差)、ニューロン数は女性690万、男性350万(49.3%の差)だったそうです。
女性は、良い子孫を残すための生殖行動の判断材料として、生物学的に嗅覚が鋭くなったという考察もあります。嗅覚の敏感さは個体差がかなり大きいですが、嗅覚は年齢と共に鈍くなることも含めて、一般的に若い女性ほど臭いに敏感で、体臭が悪化しやすいミドル・シニア層の男性ほど、鈍感な傾向があります。
臭いは、気づかないうちに他人に迷惑をかける上、『スメハラ』と呼ばれてしまうご時世なので、配慮が必要です」
Q.季節によって、汗の特徴に違いはありますか。
桐村さん「いわゆる『発汗』と呼ばれるエクリン汗腺からの汗は、体温調節のための機能です。汗と一緒に体の熱を放散するため、一般的に気温の高い季節は体温を下げるために発汗が多くなり、気温の低い季節は少なくなります。湿度が高いと汗が蒸発しにくいため、夏場は汗が皮膚にとどまり、臭いやすくなります。
冬場は、発汗は夏よりも少ないものの、汗の質が低下して臭いの原因になりやすいです。また、汗腺が休眠状態となり、機能が低下することで汗に常在菌の餌(えさ)となるミネラル成分を含みやすく、常在菌が汗の中の成分を臭い成分に変えやすくなります。
ただ、最近は冬場に保温効果の高いインナーを着用する人が多いため、暖房の効いた室内では、衣服の中が汗だくになることも。重ね着で汗が逃げずに蒸れてしまうと、臭いがこもりやすくなります」
Q.特に秋冬の汗の臭いを防ぐために、気をつけるべきことや効果的なケアはありますか。
桐村さん「秋冬の汗臭の原因は2種類あり、ケアのポイントもそれぞれ異なります」
【汗腺の機能低下による汗臭】
このタイプの汗臭ケアに重要なのは、むしろ汗をかく習慣を持つことです。有酸素運動や入浴などでしっかり汗腺を活動させ、発汗する習慣を保ちましょう。汗腺が機能すると、常在菌の餌になるミネラルなどの成分を汗に出さず、血液中に再吸収するので、サラサラとした臭いにくい汗になります。
【衣服からの汗臭】
冬場は洗濯頻度が減るため、衣服に汗や皮脂、あかがとどまりやすくなります。それらを餌に常在菌が増え、汗の中の成分から臭い成分を作り、それが繊維にとどまります。
桐村さん「冬場でも汗をかきやすい脇などには、制汗剤をポイント使いすることも予防に効果的でしょう。理想としては衣類を洗濯したいものですが、ニットなど冬の衣類はそうもいきません。インナーはこまめに洗濯し、頻繁に洗わない衣類は衣料用消臭スプレーを効果的に使いましょう」
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