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積水ハウス、男性社員「育休取得」義務化2カ月 制度は機能している? 利用者の声を聞く

自分しか決裁権のない仕事もある

育休制度の狙いについて話す仲井嘉浩社長
育休制度の狙いについて話す仲井嘉浩社長

 研修では、仲井嘉浩社長が制度を開始した経緯を説明しました。5月に出張で訪れたスウェーデンで、公園でベビーカーを押す人の9割以上が男性だったことに驚いたことや、男性が3カ月間の育児休暇を取ることが必須だと知ったことを述べ、「家族と幸せになれない社員は(顧客に)幸せな家を提供することはできません。この制度を活用して、幸せな家庭を築いていただきたい」と強調しました。

 父親が育児参加しやすい環境作りに取り組むNPO法人ファザーリング・ジャパンの安藤哲也代表理事も登壇し、「近年、熟年離婚が増えていますが、原因は産後の過ごし方にあります。育休制度を通じ、奥さんをサポートしてほしい」と話しました。

 10月24日時点で、対象者のうち19%が制度取得を申請していることについて、積水ハウスの広報担当者は「19%の申請状況はまずまずだと考えています。研修により具体的に制度内容や取得の重要性が上司本人に理解されたことが、直近の申請件数の増加に表れていると感じます」と話しています。

 課題もあります。社内からは「1カ月も休めない」「自分しか決裁権がない仕事をどう引き継ぐのか」といった不安の声が事務局に寄せられています。

 こうした声への対応について広報担当者は「今、何を優先すべきか考えることや、職場でのコミュニケーションによって解決できる内容なので、事務局側から根気よく説明し、納得してもらって一つ一つ解決しています。今後はさらに取得者の事例を豊富に発信して、さらなる浸透に努めます」と説明しています。

 政府は、2020年の男性の育休取得率13%を目標に掲げていますが、厚生労働省の調査によると、2017年度に育休を取得した男性は5.14%にとどまっています。積水ハウスのような取り組みの広がりなどで、企業の育休制度が充実するか注目されます。

(報道チーム)

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