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大人になった今も「乗り物酔い」してしまう→実は「大人になっても乗り物酔いしやすい人」には特徴があった【医師解説】

旅行時に心配なのが「乗り物酔い」。中には「大人になった今でも酔いやすい」という人も少なからずいます。「大人になっても乗り物酔いしやすい人」の特徴を、内科医が解説します。

大人になっても「よく乗り物酔いする」人の特徴って?
大人になっても「よく乗り物酔いする」人の特徴って?

 早くも後半戦に入った2025年のゴールデンウイーク。自動車や電車、船など、さまざまな乗り物に乗って旅行に行く予定の人もいると思います。旅行のときに気になることといえば、移動中に起こる「乗り物酔い」。気分が悪くなったり、吐き気をもよおしたりすると、旅行の道中がつらいものになってしまいますよね。「子どもの頃は乗り物酔いがひどかった」という人は多いと思いますが、中には大人になってからも「よく乗り物酔いする」という人もいるのではないでしょうか。

 eatLIFEクリニック(横浜市旭区)院長で内科医・糖尿病専門医の市原由美江さんは、大人になっても乗り物酔いしやすい人について「体質が大きく関わる」とした上で、いくつかの特徴があると指摘します。乗り物酔いの克服方法も含めて、詳しく教えていただきました。

男性よりも女性に多い傾向

 楽しい旅行の道中で、乗り物に酔って気持ち悪くなってしまったらつらいものです。まずは「乗り物酔い」とは何かについて解説します。

 乗り物酔いは、医学用語で「加速度病」「動揺病」といいます。人間の平衡感覚は、耳の内耳にある部位「前庭(ぜんてい)」「三半規管」で調整されており、乗り物による振動や「前後・左右・上下」への動き、発車や停止などの刺激は、内耳を通じて脳に伝達されます。

 これらの“慣れていない情報”が脳へ伝わると、人によっては自律神経が乱れてしまい、結果として頭痛やめまい、吐き気、嘔吐(おうと)、冷や汗といった症状を引き起こします。

 子どもの場合は比較的よくみられる乗り物酔いですが、大人になっても「乗り物酔いしやすい」という自覚がある人も少なからずいると思います。

 これには体質が大きく関わりますが、具体的には、ぜんそくや花粉症などのアレルギーの人、自律神経失調症の人、精神的なストレスが多い人、うつ病や神経症といった精神的な病気のある人は乗り物酔いしやすいといわれています。

 過去に乗り物酔いをした経験がある人は、「乗り物に対する不安感」から乗り物酔いを起こすこともあり、精神的要因も関係があるとされています。

 なお、年齢では、小中学生以降から中年までに多く、3~4歳未満の乳幼児や高齢者では少ないです。性別では、男性よりも女性に多い傾向にあります。

 そんな乗り物酔いですが、「なるべく乗り物酔いしにくくする」ためのポイントがいくつか存在します。

 乗り物酔いしやすい人でも、慣れることで症状が出なくなることがあります。乗り物に乗る頻度を増やしたり、体を激しく動かす運動を定期的に行ったりすることで、次第に慣れてきます。

 よく「何も食べずにいると乗り物酔いしやすくなる」といわれますが、実際は空腹でも満腹でも酔いやすくなるので、乗り物に乗る前は、適度な量の食事を取っておくのがよいでしょう。

 また、視覚から得る情報と実際の体の動きが異なると、自律神経や平衡感覚を刺激しやすくなってしまいます。なるべく、乗り物の進行方向が分かる位置に座るようにして、目線は進行方向に向けておくようにしてください。本やスマートフォンなどは見ないように注意するとよいですよ。

(オトナンサー編集部)

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市原由美江(いちはら・ゆみえ)

医師(内科・糖尿病専門医)

eatLIFEクリニック院長。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医に。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のために患者会や企業での講演活動を行っている。また、医師と患者両方の立場から患者の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。糖尿病専門医として、患者としての経験から、ダイエットや食事療法、糖質管理などの食に関する知識が豊富。1児の母として子育てをしながら仕事や家事をパワフルにこなしている。オフィシャルブログ(https://ameblo.jp/yumie6822/)。eatLIFEクリニック(https://eatlife-cl.com/)。

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