「制汗剤」で“体臭”を抑えられるの? 使用時の注意点は? “疑問”を美容外科医に聞く
制汗剤で体臭を抑えることは可能なのでしょうか。制汗剤を使う際の注意点について、美容外科医に聞きました。

汗の臭いが気になるときに便利なのが制汗剤です。特に気温が高い時期になると、使用頻度が高くなる人は多いのではないでしょうか。
ところで、体臭が気になる人の中には制汗剤で臭いを抑えようとする人もいます。制汗剤で体臭を抑えることは可能なのでしょうか。体臭がひどいときに使用しても問題はないのでしょうか。「グローバルビューティークリニック東京院」(東京都港区)院長で、美容外科医の安仁屋僚さんに聞きました。
肌がかぶれやすい人は要注意
Q.制汗剤で体臭を抑えることは可能なのでしょうか。
安仁屋さん「可能です。制汗剤のような『防臭化粧品』には、フェノールスルホン酸亜鉛や塩化アルミニウム、銀イオンなどさまざまな成分が含まれています。これらの成分によって、次のような機能を発揮します」
(1)汗を抑える
フェノールスルホン酸亜鉛や塩化アルミニウムのような収れん効果がある成分により、毛穴を引き締めたり毛穴を詰まらせたりすることで汗の出口をふさぎます。
(2)皮膚の常在菌を抑える
汗そのものに臭いはありませんが、皮膚の常在菌によって分解されると臭いに変わります。そこで、銀イオンのような常在菌の増殖を抑制する成分が、抗菌の役割を果たします。
(3)発生した体臭を抑える
体臭の原因となる低級脂肪酸に酸化亜鉛のような金属を反応させると、臭いがなくなります。
(4)香りで臭いを隠す
デオドラントのような薬剤で臭いを包み隠すことが可能です。ただし、揮発性が高い香水を使った場合、体臭も一緒に揮発して、逆に臭いが気になることがあります。
Q.体臭がひどい場合も、制汗剤を使ってもよいのでしょうか。使用時の注意点も含めて、教えてください。
安仁屋さん「体臭がひどい場合でも、正しく使えば問題ありません。体臭の程度に関わらず、汗を拭き取るなど、肌を清潔にしてから使用するようにしましょう。汗の上から制汗剤を使うと臭いが混ざり、臭いが強くなったと感じることがあるかもしれません。
先述のフェノールスルホン酸亜鉛や塩化アルミニウムといった収れん効果がある成分を使った制汗商品は、毛穴をふさぐことで汗を抑えるため、皮膚に炎症を起こすことがあるほか、あせも(汗疹)の原因となる可能性があります。かぶれやすい人やアトピー体質の人は使用時に注意する必要があります。使用してみて肌に合わなかったら、すぐに皮膚科医に相談してください。
肌が荒れた状態で使用すると『アレルギー症状が出る』『バリアー機能低下により炎症が生じる』などの健康被害が出る可能性があります。肌が荒れているときは、使用を避けた方が良いでしょう。アトピー性皮膚炎の人も注意が必要です。また、脇毛や腕毛など、毛を剃った後にすぐ使うのも避けましょう。
このほか、汗を出す器官である『汗腺』は、体温調節の役割を担っています。汗腺は体のほとんどの部位に存在しますが、制汗剤の使用で汗腺をふさぎ、汗を止めても問題がない部位は脇の下と足だけだといわれています。胸や腕など体温調節に関わる部位に制汗剤を使用することはお勧めできません。もし全身に制汗剤を使用した場合、汗が出ず体温が上がり過ぎてしまい、熱中症のリスクが上がります。
ちなみに『制汗剤を使うと乳がんやアルツハイマーになる』という内容の情報がありますが、化学的な根拠がないため、心配する必要はありません」
(オトナンサー編集部)
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