英国のEU離脱が決まっても…現地日系企業は多くが様子見? JAC調査から見えるものとは
EU離脱を決めた英国民投票から3週間ですが、現地に進出する日系企業は今、どのような状況にあるのでしょうか。世界展開する人材紹介会社ジェイエイシーリクルートメントグループが発表したリポートを基に考えていきます。
欧州連合(EU)離脱を決めた英国の国民投票から3週間――。結果を受けて辞任した、キャメロン前首相の後任にメイ首相が選出されたものの、離脱交渉の行方は見通せず、同国を巡る不透明感は世界経済にも影を落としています。
一方で、EUを離脱することで、世界中の多くの企業が進出する英国、そしてロンドンの競争力低下が進むのではないか、との声もささやかれています。とりわけ、金融街シティーの地盤沈下や関税メリット喪失の可能性などが、懸念されているようです。
「移転」検討は製造業の一部
そんな中、1975年に英国で創業し、世界10カ国で人材紹介事業を展開するジェイエイシーリクルートメントグループは7月13日、EU離脱決定後の、同国に進出する日系企業の状況に関するリポートを発表しました。
同社によると、EU残留を希望していた多くの日系企業は離脱が決まった現在、英政府が打ち出す政策を注視しており、すぐに国外移転するような状況ではないといいます。英政府が、法人税引き下げ(20%→15%)など、競争力低下を避けるために数々の政策を検討していることが背景にある、とのことです。
例えば、製造業では、欧州各国との取引における関税メリットがなくなることや、資材調達が為替の影響を受ける可能性を懸念し、英国からの移転を念頭に置いている一部企業もあるそう。しかし、製品を抱えないサービス業では、離脱による影響を軽微と捉え、移転を検討している企業は少ないといいます。
同社は「多くの日系企業は英語圏でのビジネスを優先し、英国での事業を継続する可能性が高い」としています。
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