世界的な金利上昇が始まっているのか
主要国が、2008年のリーマン・ショック後から続けてきた極端な金融緩和の解除に向けて動き始めました。それによって、各国の長期金利が足元で上昇しています。そうした中で金融緩和を続ける日本は――。
主要国の長期金利(10年物国債利回り)が足元で上昇しています。2015年末にいち早く利上げを開始した米連邦準備制度理事会(FRB)は別として、主要国の中央銀行が2008年のリーマン・ショック後から続けてきた極端な金融緩和を解除する方向に動き始めたからです。
カナダ、英国、ドイツなどが上昇幅大
以下の表を見ると、この1カ月間に、長期金利の上昇幅が最も大きかったのがカナダ、次いで英国です。いずれも、6月に入って、中央銀行総裁が利上げ開始に前向きな発言をしています。ドイツについても、欧州中央銀行(ECB)関係者の発言などを受けて、現在も続いている量的緩和(QE)の縮小が近付いているとの観測が浮上してきました。
【各国長期金利の変化】
7月6日 6月6日 変化幅 直近ピーク
米国 2.366 2.145 22 2.626
ドイツ 0.558 0.252 31 0.485
英国 1.313 0.984 33 1.515
カナダ 1.828 1.393 44 1.872
豪州 2.636 2.373 26 2.977
日本 0.104 0.042 6 0.116
(※長期金利は%、変化幅はベーシスポイント[bp、1bp=0.01%]、Bloombergより筆者作成)
他方、米国の長期金利は、2016年11月の大統領選におけるトランプ氏勝利を受けて急騰しました。トランプ氏の公約である減税やインフラ投資が実現すれば、景気の過熱や財政赤字の拡大につながると市場が懸念したためです。
米長期金利はその後も上昇を続け、2016年12月と2017年3月に2.6%近辺でいったんピークに達しました。それらはいずれも、FRBの利上げのタイミングとほぼ一致しています。しかし、6月中旬のFRBの利上げに向けて長期金利はむしろ低下しており、上昇に転じたのは利上げ後しばらくたってからです。しかも、現在の水準は昨年12月や今年3月の水準に届いていません。
ドイツの長期金利はすでに3月のピークを越えて上昇しており、またカナダの長期金利も3月のピークにほぼ並んでいます。足元の米長期金利の上昇は、ドイツやカナダの長期金利上昇に先導されている印象を受けます。
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