長期金利が低下…米債券市場では何が起きているのか
2016年の米大統領選でトランプ現大統領が勝利した直後に急騰した米長期金利ですが、2017年に入ってジリジリと低下しています。その背景には一体、何があるのでしょうか。

2017年に入って米国の長期金利(10年物国債利回り)がジリジリと低下しています。
2016年11月の大統領選でトランプ現大統領が勝利した直後に、長期金利は急騰しました。同氏が主張する減税やインフラ投資が実現すれば、経済成長率やインフレ率が上向き、連邦準備制度理事会(FRB)が利上げペースを速める、あるいは財政赤字が拡大するとの見方があったからです。いずれも金利が上昇(価格は下落)する要因です。
減税とインフラ投資の実現性が後退か
したがって、足元の金利低下は減税やインフラ投資の実現性が後退したことを意味するのかもしれません。ワシントンでは「ロシアゲート」で騒がしい状況が続いています。トランプ大統領が議会を掌握しているとは言いがたく、議会も減税やインフラ投資を盛り込む予算の編成にあまり熱心ではないようです。
ただし、長期金利の低下はそれだけでは説明しきれません。
FRBは2016年12月に続いて、2017年3月と6月にも利上げを実施しており、さらに2017年後半~2018年にかけて複数回の利上げを想定しています。将来の予想を反映する傾向が強い長期金利が低下しているということは、FRBが想定通りの利上げを実施できない、あるいは近い将来利下げに転じるとの市場の期待が高まっているのかもしれません。
確かに、足元では弱めの経済指標が増え、物価もやや下振れしていますが、市場はFRBですら知らない「何か」を知っているのでしょうか。
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