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「遺骨」は誰の所有物? SNS上には「争いになったら大変そう」などの声も…弁護士に聞く

亡くなった人の「遺骨」。その法的扱いや所有者について、弁護士に聞きました。

遺骨の法的扱いとは?
遺骨の法的扱いとは?

 SNS上で先日「遺骨」について話題となりました。

 遺骨の所有や納骨方法を巡って、故人の家族や親族、関係者間でトラブルに発展するケースがあるようで、「持ち主はどうやって決まるんだろう」「そもそも遺骨って“物”なの?」「争いになったら大変そう」など、さまざまな声が上がっています。

 遺骨の法的扱いについて、芝綜合法律事務所の牧野和夫弁護士に聞きました。

遺骨は相続財産の対象でない

Q.法律上、遺骨はどのように扱われるのですか。

牧野さん「裁判例では『物体』と言っていますが、要するに『物』(法律用語では『動産』)になります」

Q.遺骨の所有権は誰にあるのでしょうか。

牧野さん「遺骨は、相続財産の対象になりません。遺骨は、相続財産とは関係なく、祭祀(さいし)を主宰すべき者(祭祀承継者)に所有権が認められます(民法897条)。祭祀承継者とは、葬儀や法事などを代表して行う人物です。配偶者や長子が一般的ですが、民法上は血のつながっていない人や友人でも認められています」

Q.祭祀承継者の決め方を教えてください。

牧野さん「民法897条では、亡くなった人(被相続人)の指定があれば、それに従って承継することになっています。遺言があればその指定に従い、書面でなくても指定の証明ができればそれに従うことになります。例えば、亡くなった人が生前、『お前が墓守をしてくれ』と言っていた場合、『祭祀を主宰すべき者』にあなたを指定していたことになるため、それが証明できれば遺骨の引渡請求ができます。

指定がない場合は、慣習に従って祖先の祭祀を主宰すべき者がこれを承継するとあります。慣習が明らかでない場合には、家庭裁判所が定めるとなっています」

Q.家庭裁判所ではどのように所有者を決めるのでしょうか。

牧野さん「遺言もなく、慣習も明らかでない場合、家庭裁判所で祭祀財産の承継者を決めるにあたっては、被相続人(故人)との身分関係や事実上の生活関係、被相続人の意思、祭祀承継の意思および能力など、あらゆる事情をくんで決定することになります(平成26年6月30日さいたま家裁審判)」

Q.遺骨を巡る、過去の裁判例を教えてください。

牧野さん「『祭祀を主宰すべき者』の指定がなかったケースで、裁判例がいくつか見られます。

20年連れ添った夫を亡くした妻が、夫の母親と遺骨の所有権を争った事件で、裁判所は、『夫の死亡後その生存配偶者が原始的にその祭祀を主宰することは、わが民法の法意および近時のわが国の慣習に徴し、法的にも承認されるべきもの』とし、亡夫の遺骨はその祭祀を主宰する生存配偶者(妻)に原始的に帰属するものと判断しました(昭和62年10月8日東京高裁判決)」

(ライフスタイルチーム)

牧野和夫(まきの・かずお)

弁護士(日・米ミシガン州)・弁理士

1981年早稲田大学法学部卒、1991年ジョージタウン大学ロースクール法学修士号、1992年米ミシガン州弁護士登録、2006年弁護士・弁理士登録。いすゞ自動車課長・審議役、アップルコンピュータ法務部長、Business Software Alliance(BSA)日本代表事務局長、内閣司法制度改革推進本部法曹養成検討会委員、国士舘大学法学部教授、尚美学園大学大学院客員教授、東京理科大学大学院客員教授を歴任し、現在に至る。専門は国際取引法、知的財産権、ライセンス契約、デジタルコンテンツ、インターネット法、企業法務、製造物責任、IT法務全般、個人情報保護法、法務・知財戦略、一般民事・刑事。

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