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ふるさと納税過熱化めぐり12自治体公表 国と“名指し”された自治体、それぞれの思いは?

東京23区の区民税流出が深刻に

杉並区が公開している、ふるさと納税に関するパンフレット
杉並区が公開している、ふるさと納税に関するパンフレット

「ふるさと納税」獲得競争の中、あおりを受けているのが東京23区です。2017年度の区民税の流出額は、世田谷区が30億8000万円、港区が23億5000万円、杉並区が13億9000万円。ほとんどの自治体は、ふるさと納税による減収分の75%が地方交付税で補てんされますが、東京23区は補てんがありません。減収で行政サービスの低下も懸念されています。

 杉並区では2017年、「ふるさと納税で住民税が流出しています」という大胆なタイトルのパンフレットを配布し、2018年1月にはホームページで公開しました。パンフレットでは、ふるさと納税の影響で減収を余儀なくされると、行政サービスに悪影響が出ることをイラスト付きで説明しています。

 パンフレット配布の経緯を、杉並区区民生活部管理課の担当者に聞きました。

Q.なぜ、パンフレットを配布したのですか。

担当者「区民の皆さんに、区の財政の現状やふるさと納税の問題点を伝えることで、一緒に考えていただきたかったからです。制度について考えるきっかけを示すことができたのであれば、成功ではないかと考えています。

杉並区の特別区民税(住民税)は、2016年度は約7億3000万円、2017年度は約13億9000万円の減収となっています。住民税は、住民が住所地の自治体から受ける行政サービスのコストを分かち合う仕組みです。地方自治体にとって歳入の多くを占める基幹税であることから、大幅な減収が続くと住民の皆さんに提供する行政サービスの財源が失われ、サービスそのものの削減を余儀なくされる恐れもあります。

杉並区は、『地方創生』『地方活性化』という、ふるさと納税の理念そのものには賛同しています。都市部の自治体と地方の自治体で住民税を奪い合ったり、対立構造が生まれることは本意ではありません」

Q.2018年度も減収見込みなのでしょうか。

担当者「詳細は未確定ですが、前年度を上回る減収を想定しています」

Q.対立構造は本意ではないということですが、自治体間で協力していることがあるのでしょうか。

担当者「災害時の『自治体スクラム支援』に基づく、東日本大震災における福島県南相馬市への支援や、静岡県南伊豆町での特養ホームの整備など、自治体相互の信頼関係に基づいたさまざまな取り組みを行ってきました。住民税の減収が続くとこうした取り組みもできなくなり、地方創生や地方活性化が進まなくなるのではと懸念しています。

杉並区は、ふるさと納税で頂いた寄付について『次世代育成』『社会福祉』『みどり』『NPO支援』の4つの基金に充てるほか、日本フィルの被災地復興支援活動の応援や、国史跡の整備に活用するなど、健全な寄付文化の醸成、都市と地方の共存共栄を目指して取り組んでいます。区からの返礼品については、障害者施設の製品の活用や児童養護施設等への物品の贈呈など、福祉関係の取り組みに資する内容としています。

今後も国に対して、ふるさと納税が地方創生や地域の活性化に資するなど本来の趣旨を生かした制度となるよう、23区特別区長会などを通じ、引き続き要望していきます」

(報道チーム)

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