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子どものイライラ、実は「甘い食べ物」が原因? “真偽”を糖尿病専門医に聞いた

子どもが甘い物を食べ過ぎると、イライラしやすくなるのは本当なのでしょうか。内科医・糖尿病専門医に聞きました。

「甘い物の食べ過ぎがイライラを招く」のは本当?
「甘い物の食べ過ぎがイライラを招く」のは本当?

 子育てをしていて、「子どもが最近、イライラするようになった」と感じたことはありませんか。「甘い物を食べ過ぎると、イライラしやすい」といわれており、食生活が関係している可能性が考えられます。

 子どもが甘い物を食べ過ぎると、イライラしやすくなるのは本当なのでしょうか。子どものイライラを抑えるには、日常生活でどのようなことを見直す必要があるのでしょうか。内科医・糖尿病専門医の市原由美江さんに聞きました。

「反応性低血糖」が原因

Q.「甘い物を食べ過ぎるとイライラしやすい」といわれていますが、本当なのでしょうか。例えば、子どもが普段から甘い物をよく食べている場合、イライラしやすくなる可能性が考えられるのでしょうか。

市原さん「通常であれば、甘い物を食べると満足感や精神的な安定が得られるかと思います。しかし、糖質を過剰に摂取すると血糖値が急上昇し、それを抑えるためにすい臓からインスリンが大量に分泌されます。この大量のインスリンが数時間後に低血糖を引き起こすことがありますが、このときに低血糖の症状の一つとしてイライラを引き起こすことがあります。

こうした食事の数時間後に生じる低血糖を『反応性低血糖』と呼びます。これは糖尿病の初期段階や境界型糖尿病の人に多い傾向にあります。糖尿病の中でも最も患者数が多い『2型糖尿病』は子どもがかかるケースも多く、中学生以降は、インスリンが欠乏することで主に小児期に発症する『1型糖尿病』よりも2型糖尿病の患者の方が多いのが現状です」

Q.では、子どもが以前よりもイライラするようになった場合、日常生活でどのようなことを見直すべきなのでしょうか。

市原さん「まずは『肥満がないかどうか』『おやつの内容は適切かどうか』『食事は3食バランスよく取れているかどうか』『ゲームばかりしていて運動不足になっていないかどうか』を確認しましょう。

1日当たりの砂糖の摂取量の目安は、未就学児で10グラム、小学生以上で20グラム程度です。こちらを目安におやつを出してください。例えば、砂糖20グラムを目安とした場合、ジュースは200ミリリットル、クッキーは2~3枚、ケーキは1個弱です。未就学児はこの量の半分が望ましいことになります。

子どもが反応性低血糖によりイライラしている場合、そのときに甘い物を与えると低血糖が改善して、イライラも治まるはずです。しかし、それではいたちごっことなるため、甘い物を取り過ぎないことはもちろん、食事のバランスを考えたり、適度な運動をしたりするなど、生活を見直す必要があります」

Q.子どものイライラが続く場合、低血糖以外ではどのような病気の可能性が考えられますか。

市原さん「単純に反抗期が原因である可能性が考えられますが、中にはうつ病や反抗挑戦性障害などの精神的な病気である可能性もあるため、イライラが続くようであれば、心療内科に相談することが大切です」

(オトナンサー編集部)

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市原由美江(いちはら・ゆみえ)

医師(内科・糖尿病専門医)

横浜鶴ヶ峰病院付属予防医療クリニック副院長。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医に。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のために患者会や企業での講演活動を行っている。また、医師と患者両方の立場から患者の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。糖尿病専門医として、患者としての経験から、ダイエットや食事療法、糖質管理などの食に関する知識が豊富。1児の母として子育てをしながら仕事や家事をパワフルにこなしている。オフィシャルブログ(https://ameblo.jp/yumie6822/)。

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