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「おもちゃに興味示さず」「5歳で発達年齢は1歳半」 知的障害伴う自閉症の8歳息子の母が直面した「クリスマスプレゼント」選びの難しさ

障害がある子に渡しやすいプレゼントとは?

 息子が未就学の頃、筆者はクリスマスが近づくと、同じ療育(障害がある子どもの自立を支援する施設)に通うママ友たちと「プレゼント何にする?」という話をよくしていました。

 これは、発語がなかったり、意思疎通が難しかったりする子どもを持つ親御さんたちの共通の悩みでもあるのではないでしょうか。ママ友とのやりとりの中で、プレゼント選びで参考になった話を2つご紹介したいと思います。

■普段よりもちょっといい靴や衣類をプレゼント
感覚過敏などがあるお子さんもいるので別の難しさはありますが、新しい靴や服を新調することで、うれしそうな顔を見せてくれるお子さんもいるのではないでしょうか。また、イベントごとなどの節目に新調することで、「あのときにあげた靴だ」と家族で思い返せる特別なお気に入りの品になるかもしれません。

■DVDなど、子どもが受動的に楽しめる物を選ぶ
誤飲の可能性もないので、対象年齢は発達年齢に合わせて低年齢向けにすると、本人も楽しみやすいのではないかと思います。

 他には、誤飲などの危険性がないという前提で、やはり「実年齢ではなく発達年齢に合わせた選び方をした方がよい」という話をよくしました。乳幼児向けの音が出る絵本などを毎年プレゼントし、「壊れたらまた次の年に買い直す」くらいの気持ちでいるのもいいかもしれません。

 ここまでプレゼントについて紹介してきましたが、「何かをもらった!」という気持ちは誰もがうれしいものです。それは障害の有無にかかわらず、誰もがそうだと思うのです。

 息子もプレゼントの中身には興味がなくても、プレゼントが入っていた箱や包装紙を何日も大事に保管していました。

 ただ、子どもにあげたプレゼントそのものが放置されていたら、親としては何となく寂しくなります。親以外の人が渡したプレゼントの場合も、自分がよかれと思ってあげたものが思いがけず親の心配の種になってしまっては、本意ではないでしょう。

 そこで、実年齢と発達年齢が離れている子どもに何かを贈りたい場合、事前にその子の親に相談をしてからプレゼントを選んだ方がよいと思います。その方が、お互いにとって気持ちのよいやりとりができるのではないでしょうか。

 これからクリスマス、正月とイベントが続きますが、お子さんがいない人でも、親戚など身近なお子さんに何かを贈る機会が増えるかもしれません。その際、今回の話が参考になれば幸いです。

(ライター、イラストレーター べっこうあめアマミ)

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べっこうあめアマミ(べっこうあめあまみ)

ライター、イラストレーター

知的障害を伴う自閉症の息子と「きょうだい児」の娘を育てながら、ライター、電子書籍作家として活動。「ママがしんどくて無理をして、子どもが幸せになれるわけがない」という信念のもと、「障害のある子ども」ではなく「障害児のママ」に軸足をおいた発信をツイッター(https://twitter.com/ariorihaberi_im)などの各種SNSで続けている。障害児育児をテーマにした複数の電子書籍を出版し、Amazonランキング1位を獲得するなど多くの障害児家族に読まれている(https://www.amazon.co.jp/dp/B09BRGSY7M/)。「べっこうあめアマミ」というペンネームは、障害という重くなりがちなテーマについて、多くの人に気軽に触れてもらいたいと願い、夫と相談して、あえて軽めの言葉を選んで付けた。

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