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医師への暴言、炎上…2型糖尿病のクロちゃんが体験した「教育入院」とは

糖尿病と診断された、お笑いトリオ・安田大サーカスのクロちゃんが体験したことで話題となった「教育入院」。どのような入院制度なのか、医師に聞きました。

教育入院とは
教育入院とは

 医療バラエティー番組で、2型糖尿病であることが発覚したお笑いトリオ・安田大サーカスのクロちゃんが先日、5日間の「教育入院」をしたことが話題になりました。同番組で医師に「血糖値が即入院レベル」と警告されても、自身のツイッターや他番組で奔放な言動を繰り返し、一向に生活習慣を改める気配がなかったクロちゃん。ところが、入院後は打って変わって「本当にキチンと勉強しないといけないなと思いました。なのでキチンと頑張ります!」と“殊勝な”コメントを発表しました。

 これを受けてネット上では「教育入院て何」「クロちゃんが改心するほど厳しいのか」「自分もやった方がいいかも」など、教育入院への注目が高まっています。教育入院とはどのようなものなのか、医師の市原由美江さんに聞きました。

食事指導や合併症の検査も

Q.教育入院とは何ですか。

市原さん「教育入院とは、患者さんが糖尿病に関する知識を学びながら血糖コントロールを行うことを目的とした入院です。対象は、糖尿病になったばかりの患者さんや、糖尿病の治療がうまくいっていない患者さんなどさまざまで、医師が判断した場合に入院となります。一般的な治療だけが目的の入院とは異なり、治療に加え、あらゆる方法で糖尿病の知識の補充が行われ、合併症の検査を行うのが特徴です。なお、高血圧や腎臓病などの教育入院を行っているところもあるようですが、一般的に教育入院は『糖尿病教育入院』の略です」

Q.教育入院の内容について、より具体的に教えてください。

市原さん「具体的には、糖尿病専門医や日本糖尿病療養指導士(看護師、管理栄養士、薬剤師、臨床検査技師、理学療法士)による糖尿病教室が開かれることが多く、そこで、糖尿病とはどんな病気なのか、治療法にはどんなものがあるのか、糖尿病による合併症にはどんなものがあり、それらを予防するにはどうしたらよいかなど、糖尿病全般の勉強をします。管理栄養士からの栄養指導や、入院中に提供される食事によって、食事療法の大切さを学ぶ機会もあります。血糖値測定により、実際に食べた食事や行った運動で血糖値がどう変化するかを学べるほか、入院中に合併症の有無を調べる検査を行うことが多いため、自分の合併症の程度を知ることもできます。また、糖尿病の患者さん同士の交流により、治療へのやる気がアップしたり、お互いの経験を学んだりと患者さんにとって精神的にプラス面が多いのも特徴です」

Q.教育入院に向いている人、向いていない人はいますか。

市原さん「『糖尿病のことをもっと知りたい』『血糖値を改善したい』という気持ちが強い患者さんは教育入院に向いているでしょう。入院は集団生活でもあるため、普段昼夜逆転の生活をしている人や、食事の時間を決められるのが嫌な人は向いていないかもしれません。しかし、治療に抵抗がある患者さんでも、入院してみると気持ちの変化が起こり、治療に積極的になることもあるため、興味があればまず主治医に相談してみましょう。教育入院というと、厳格な指導や生活改善を強いられることを想像するかもしれませんが、個々の患者さんの生活に合わせた治療や生活指導をしている病院が増えています」

Q.教育入院の一般的な入院期間を教えてください。

市原さん「病院によって異なりますが一般的には1~2週間です。短いと3日間程度の場合もありますが、教育だけではなく治療もしっかり行うために2週間は必要でしょう」

Q.教育入院にかかる費用はいくらくらいですか。また、保険は適用されますか。

市原さん「教育入院には保険が適用されます。私の勤務先の関連病院では、2週間前後の入院期間の場合、3割負担で5万~15万円ですが治療内容や検査内容、病院や保険によっても異なります。高額療養費制度を利用できるので、心配な方は健康保険組合に事前に相談するとよいでしょう」

Q.どのような病院で教育入院ができますか。医師の指示や紹介状は必要でしょうか。

市原さん「糖尿病内科、内分泌内科のある病院は教育入院を行っていることがほとんどですが、病院によって異なるため、事前に問い合わせましょう。教育入院の希望があれば、かかりつけの主治医にまず相談してください。かかりつけでない病院での入院の場合は、紹介状を作成してもらい、その病院をいったん受診する必要があります」

(ライフスタイルチーム)

市原由美江(いちはら・ゆみえ)

医師(内科・糖尿病専門医)

横浜鶴ヶ峰病院付属予防医療クリニック勤務。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医に。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のために患者会や企業での講演活動を行っている。また、医師と患者両方の立場から患者の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。糖尿病専門医として、患者としての経験から、ダイエットや食事療法、糖質管理などの食に関する知識が豊富。1児の母として子育てをしながら仕事や家事をパワフルにこなしている。