生の魚介類で腹痛や下痢…どう対処したらいい? 薬はすぐ飲むべき?
生魚を食べた後に腹痛や下痢の症状が出た場合、どのように対処すべきなのでしょうか。医師に聞きました。

きょう12月11日は「胃腸の日」です。これは、セルフメディケーション(市販薬を使って、軽度の症状を手当てすること)の普及活動を行う日本OTC医薬品協会(JSMI、東京都千代田区)が「胃腸へのいたわりの気持ちを持つ日」として、「胃に(12)イイ(11)日」と定めたことに由来します。この時期は忘年会・新年会時の暴飲暴食やノロウイルスによる食中毒などで胃腸の調子が悪くなることがあり、特に注意する必要があります。
ところで、生の魚介類を食べた後、腹痛や下痢の症状が出ることがあります。この場合、どのように対処すべきなのでしょうか。内科医の市原由美江さんに聞きました。
腸炎ビブリオ、ノロウイルスなどが原因に
Q.生の魚介類(刺し身など)を食べた後に下腹部が痛くなったり、下痢をしたりすることがあります。なぜなのでしょうか。
市原さん「腸炎ビブリオ、ノロウイルスなどの細菌やウイルスによる食中毒が原因だと考えられます。生魚には、こうした菌やウイルスが付着することがあり、食べた後に腹痛や嘔吐(おうと)、下痢、発熱など、胃腸炎の症状が出ることがあります」
Q.生の魚介類の食中毒についてはアニサキス症も有名ですが、細菌やウイルスによる食中毒とアニサキス症は何が違うのでしょうか。
市原さん「アニサキス症の場合、下痢はなく、腹痛や吐き気、嘔吐が主な症状です。また、細菌やウイルスではなく、魚介類に寄生するアニサキス(寄生虫の一種)が体内に入ることで症状を引き起こすのが特徴です。胃カメラでアニサキスを摘出する必要があるので、生魚を食べた後に腹痛が続けば、早めに医療機関を受診しましょう」
Q.生の魚介類を食べた後、腹痛や下痢の症状が出た場合の対処法について教えてください。すぐに下痢止め薬などの薬を飲むべきなのでしょうか。それとも、様子を見た方がよいのでしょうか。また、水分は積極的に摂取した方がよいのでしょうか。
市原さん「ウイルスや細菌による胃腸炎は下痢止めを飲むと、そのウイルスや細菌が体内にとどまる時間が長くなるため、症状の回復が遅くなる可能性があります。すぐに下痢止めを飲まずに様子を見ましょう。
下痢や嘔吐が続くと脱水状態になるため、積極的に水分摂取をした方がよいのですが、水分を取ってもすぐに吐いてしまう場合や、頻繁に下痢をして水分を大量に失った場合、点滴による治療や症状緩和のための投薬が必要になります。嘔吐・下痢の症状がひどい場合は医療機関を受診しましょう。医師の判断で、下痢の原因菌やウイルスを特定する検査をすることもあります」
Q.生の魚介類を食べるときの注意点について、教えてください。
市原さん「なるべく新鮮なものを選び、食べる直前まで、低温管理しましょう。また、魚を調理したまな板や包丁はその都度、十分に洗浄し、消毒をしましょう」
Q.年を取るごとに、生の魚介類を食べた後に腹痛や下痢の症状が出やすくなる人もいるようです。考えられる原因について、教えてください。
市原さん「年を取ると免疫力が徐々に落ちるので、免疫力の低下が可能性として挙げられます。ただ、はっきりした原因は分かっていません」
(オトナンサー編集部)
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