乱発でありがたみゼロに? おすすめできない「子どもの褒め方」5選
「子どもは褒めて育てよ」とよく耳にしますが、「いい子ね」「すごいね」と言い続けていると、いずれ、ネタが尽きてしまいます。では、どのように褒めればよいのでしょうか。

「子どもは褒めて育てよ」とよく耳にしますが、漠然としていますよね。「いい子ね」「すごいね」と言い続けていると、いずれ、ネタが尽き、ありがたみも感じなくなってしまいます。子どもを褒めるときの「おすすめしない褒め方」を5つご紹介します。
褒めてばかりでも…
【やたらと褒める】
できて当たり前のことなのに口癖のように「いい子ね」を連呼していると、だんだんと子どもの耳には“たこ”ができ、まるで、大人同士の社交辞令のようになってしまいます。
「昨日はピーマンを残していたけれど、今日は頑張って食べたのね」「そのおもちゃで遊びたかったのに弟に譲ってやったのね。我慢できたのね」と、本当に褒められるべきことをしたときだけにとどめておくと、褒め言葉がより効果を発揮します。
【「馬の耳に念仏」の褒め方をする】
「いい子ね」「偉いね」「かっこいいね」「すてきだね」という褒め方ばかりだと、いずれ、ネタが尽きてしまうでしょう。子どもにとっても“馬の耳に念仏”状態になります。また、子どもはだんだんと「またそうやって僕(私)をおだててやらせようとしている」と見抜くようになるかもしれません。
【結果だけを褒める】
「運動会で1等賞になって立派だね」「100点を取って偉いね」。これらは決して悪い褒め方ではありませんが、結果だけにスポットを当てる褒め方ばかりをしていると、結果が伴わなかったとき、子どもは褒められる対象から外れてしまいます。
1番になれなかったとき、満点を取れなかったときに「自分は褒められるに値しない人間だ」と感じ、もろく崩れやすい“偽の自己肯定感”がついてしまうかもしれません。
【他の子と比較して褒める】
「見て、あのきょうだい、いつもけんかばかりしているのね。その点、あなたたちきょうだいはいつも仲良くしていて、お利口だね」
「○○ちゃんは一生懸命練習していなかったから、運動会で1等賞になれなかったのね。その点、あなたは毎日頑張って練習していたから優勝できたのね。偉いね」
このように、たとえ、わが子を褒めていても「他人と比べて○○だから立派である」という褒め方をしていると、自分よりできていない人をばかにする態度を取るようになってしまうかもしれません。
【「やればできる」と励ます】
褒め言葉とは少し違いますが、失敗をしたとき、「あなただって、やればできるのよ」と励ましたくなるものです。これは裏を返せば、「今はできていない」と責めているようなもの。失敗することが許されないように感じ、プレッシャーになります。
これからの子どもの人生でも、自分の努力ではどうにもならないことはたくさん起こるでしょう。走る練習を積み、予行演習では1等賞だったのに、本番ではつまずいて転んでビリになったり、幼児教室に通って頑張って勉強していたのに、小学校受験で不合格になったり…幼児期の挫折を通じて、「努力してもかなわないこともある」と知ることも必要ではないでしょうか。
たとえ、結果が伴わなくても、勉強したことによって身に付いた集中力や知識、徒競走の練習をしたことによる脚力は確実についているのですから、無駄なことは何一つありません。「結果が出なくては意味なし」と受け取られかねない褒め方はあまりおすすめしません。
「いつも見ているよ」が愛情表現
では、どのように子どもを褒めるのがよいのでしょうか。お手本となるのは「アナウンサーの実況中継」です。
「おもちゃ、片付いているね」
「食事を残さず食べているね」
「弟と仲良く遊んでいるね。おもちゃを貸してあげられているね」
「○○したから偉い、立派だ、すごい」という言葉は入っていませんが、これらは「あなたの行動をいつも見ていますよ」という愛情表現、つまり、「認めている」という言葉です。何をしていても無視されたり、気付かれなかったりするのは悲しいもの。褒めるとはすなわち、「認める」ことなのです。
子どもへの褒め方がマンネリ化しないよう、参考にしてくださいね。
(子育て本著者・講演家 立石美津子)
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