オトナンサー|オトナの教養エンタメバラエティー

「冷えたビール×ジンギスカン」はヒツジの脂が固まってよくない、本当?

「冷たいビールを飲みながら、ジンギスカンを食べるのはよくない」とネット上で話題になっています。本当でしょうか。

ジンギスカンとビールで脂が固まる?
ジンギスカンとビールで脂が固まる?

 ヒツジの肉の焼き肉「ジンギスカン」はヘルシーイメージもあって人気ですが、「冷たいビールを飲みながら、ジンギスカンを食べるのはよくない」「(ジンギスカンと冷たいビールを組み合わせると)おなかの中でヒツジの脂が固まって大変なことになる」という話がネット上で話題になっています。「定番なのに」「怖い話」「気を付けなければ」「チーズフォンデュも同じでは?」などの声も。

 ヒツジの肉を食べる際、冷たいビールを飲むと本当に体に悪いのでしょうか。内科医の市原由美江さんに聞きました。

脂肪は消化酵素で分解

Q.ヒツジの肉を、冷たいビールを飲みながら食べた場合、健康被害が生じる可能性はあるのでしょうか。また、牛肉や豚肉、鶏肉についてはどうでしょうか。

市原さん「ヒツジの肉の脂の融点は44度程度で、鶏肉や豚肉、牛肉よりも高いため、冷たい飲み物(ビールなどのアルコール飲料を含む)と一緒に食べると、胃の中で脂肪が溶けにくくなります。しかし、脂肪は最終的に『リパーゼ』という消化酵素で分解されるので、たとえ胃の中で脂肪が固まったとしても、消化吸収に支障が出ることは考えにくいです。一度に大量のヒツジの肉を食べるのでなければ問題ありません。

なお、牛肉や豚肉、鶏肉を冷たい飲み物を飲みながら食べた場合も、消化吸収に支障が出ることはないでしょう」

Q.胃の中で脂肪が固まっても消化に支障はないとのことですが、肉料理を食べると、胃もたれや胸焼けが起きることがあります。なぜでしょうか。また、「肉料理を食べるときは温かい飲み物がよい」といわれていますが、胃もたれ防止に効果があるのでしょうか。

市原さん「よく誤解されるのですが、胃もたれは肉の脂肪が胃の中で固まることで起きるのではありません。脂肪を摂取すると、十二指腸から、『コレシストキニン』というホルモンが分泌され、胃の働きを抑制して、胃から小腸への食べ物の排出能力を弱めます。つまり、消化に時間がかかるため、胃もたれの症状が起きるのです。また、脂肪を摂取すると胃酸が食道に逆流しやすくなり、胸焼けも起きやすくなります。

これらのことから、肉料理を食べるときに温かい飲み物を飲んでも、必ずしも胃もたれや胸焼けに効果があるとはいえません」

Q.では、チーズフォンデュのようなチーズ料理と冷たい飲み物を一緒に摂取した場合でも、消化吸収に支障はないということでしょうか。

市原さん「チーズ料理と冷たい飲み物を一緒に摂取しても特に問題はありません。チーズが胃の中で固まったとしても肉の脂肪と同様、消化酵素によって分解されるからです。そのため、食べる際はあまり組み合わせを気にしなくても大丈夫です」

Q.食事中、冷たい飲み物を飲む際の注意点について教えてください。

市原さん「冷たい飲み物は胃腸を冷やすため、胃腸の動きを弱め、食べ物の消化吸収を悪くする可能性があります。過剰摂取には注意しましょう」

(オトナンサー編集部)

市原由美江(いちはら・ゆみえ)

医師(内科・糖尿病専門医)

横浜鶴ヶ峰病院付属予防医療クリニック副院長。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医に。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のために患者会や企業での講演活動を行っている。また、医師と患者両方の立場から患者の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。糖尿病専門医として、患者としての経験から、ダイエットや食事療法、糖質管理などの食に関する知識が豊富。1児の母として子育てをしながら仕事や家事をパワフルにこなしている。オフィシャルブログ(https://ameblo.jp/yumie6822/)。

コメント