都の「感染防止徹底宣言ステッカー」、無対策で掲示したら処罰される?
東京都は新型コロナウイルスの感染防止対策を行う飲食店などに対し、対策の実施を証明するステッカーを発行しています。もし、対策をせずにステッカーを掲示した場合、どうなるのでしょうか。
東京都は、新型コロナウイルスの感染防止対策を行っている飲食店や商業施設などを対象に「感染防止徹底宣言ステッカー」を6月12日から、ネット上などで配布しています。
都は、ステッカーを掲示することで利用者の安心につながるとしていますが、ステッカーを掲示した店の一部で集団感染が発生したほか、「感染防止対策をしていない店がステッカーを掲示している」といった情報が複数寄せられています。
もし、感染防止対策を行わずにステッカーを掲示した場合、処罰される可能性はあるのでしょうか。ステッカーを掲示した店への抜き打ち調査の有無などについて、東京都総務局総合防災部の担当者に聞きました。
悪質な場合は法的措置の可能性も
Q.これまでに発行された「感染防止徹底宣言ステッカー」の枚数は。
担当者「8月26日現在、約21万9000枚を発行しています。ステッカーの主な配布先は飲食店のほか、商業施設や遊興施設、スポーツジムなどです。
なお、ステッカーを取得する場合は、都のホームページ上で店舗情報や施設情報を登録した上で、『手洗いの徹底・マスクの着用』『利用者・従業員の体調管理』『ソーシャルディスタンス』など感染防止対策に関するチェックシートを記入する必要があります」
Q.「感染防止徹底宣言ステッカー」を導入した狙いは。また、ステッカーの掲示は条例で義務付けられているのでしょうか。
担当者「店や施設が、自主的に新型コロナウイルスの感染防止対策に取り組むよう促すのが狙いです。ステッカーを掲示することで、利用者は安全な店や施設を見分けることができ、安心につながります。なお、ステッカーの掲示は都条例で努力義務となっています」
Q.店や施設が、感染防止対策を行わずにステッカーを掲示した場合やステッカーを偽造した場合、処罰される可能性はあるのでしょうか。
担当者「今のところ、店や施設への処罰は考えていません。
ただし、ステッカーに関する利用規約では(1)登録情報やステッカーを第三者に貸与、譲渡、販売、または再配布する行為(2)発行されたステッカーを加工、編集、改ざんする行為(デザインの改変を含まない拡大、縮小による二次利用を除く)(3)ステッカー発行に関する運営を妨害、または信用を毀損(きそん)する行為(4)法令または公序良俗に違反する行為またはその恐れのある行為――などを禁止しています。
これらの行為に該当する場合、ステッカーの撤去をお願いすることもありますし、悪質な場合は法的措置を取る可能性があります」
Q.ネット上では「感染防止対策を行っていない店がステッカーを掲示している」という声も複数あります。この件について対策を行う予定はありますか。
担当者「これまで、都に対して『ステッカーが掲示されている店に行ったが、感染防止対策が不十分だった』『ステッカーは感染防止対策の実効性を担保していない』などの苦情が寄せられています。そのため、ステッカーを掲示した店や施設を対象に、都の職員による、現地での抜き打ち調査を8月中旬から始めました。対策が不十分だった場合、改善を求めています」
なお、都は現在、カラオケ店や酒類を提供する飲食店に営業時間短縮を要請しており、要請に全面協力した店に協力金を支給する予定ですが、感染防止対策をしていてもステッカーを掲示しない場合は、協力金を受け取れないのでしょうか。東京都ステッカー申請・感染拡大防止協力金相談センターに聞きました。
Q.支給予定の協力金はステッカーを掲示しなかった場合、対象外となるのでしょうか。
担当者「要請期間中(8月3日~31日)、営業時間短縮に応じたカラオケ店や酒類を提供する飲食店を対象に20万円の協力金を支給する予定ですが、期間中に感染防止徹底宣言ステッカーを掲示していなかった場合、支給の対象にはなりません。支給申請は9月1日から受け付けますが、店にステッカーを掲示していたことを証明するため、ステッカーの掲示状況を撮影した画像を提出する必要があります」
Q.23区内のカラオケ店や酒類を提供する飲食店に関しては、営業時間の短縮要請を9月15日まで延長することを小池知事が発表しました。延長要請に応じなかった場合、20万円の協力金は支給されないのでしょうか。
担当者「営業時間短縮を延長しなかった場合でも、8月分の協力金(20万円)は支給します。9月15日までの延長に協力した店に対しては別途15万円を支給する予定ですが、詳細はまだ決まっていません」
(オトナンサー編集部)
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