巣ごもり育児の救世主? 画面でつながる「オンライン育児」のメリットと注意点
巣ごもり生活で育児に追われる親の救世主となり得る「オンライン育児」の上手な取り入れ方や注意点について、専門家に聞きました。
新型コロナウイルスの影響の長期化に伴い、毎日の家事やテレワークに加え、以前よりも育児に追われている人も多いと思います。ネット上では、育児中の親の「子どもと一緒に過ごせる時間が増えたのはうれしい」という声が多い一方で、「四六時中、子どもがべったりで仕事もままならない」といった苦労や、「『保育園の友達と会いたい』と泣く」「大人とよりも子ども同士で遊びたいんだろうな」というわが子の変化まで、さまざまな声が聞かれます。
そんな中、育児中の友人親子とビデオ通話アプリなどでつなぎ、画面の向こうの子どもに向けて、読み聞かせや歌、おしゃべりなどをし合う「オンライン育児」を取り入れる親も少しずつ増えており、「友達が遠隔で子どもを構ってくれるので助かる」「友達の子どもと話せて、うちの子もうれしそう」「親の私も気分転換になる」など、長引く巣ごもり生活を救う一つの方法として注目されているようです。
巣ごもりでの育児に追われる親の救世主となり得る「オンライン育児」の上手な取り入れ方や注意点について、子育てカウンセラーの佐藤めぐみさんに聞きました。
「人とのつながり」保つ手段に
Q.現在の状況のように親と子どもが四六時中、同じ空間で一緒に過ごすことには、どのようなメリット/デメリットがあると思われますか。
佐藤さん「まず考えられるメリットは、親と一緒に過ごす時間が増えることで、子どもが『寂しい』と感じることが減り、それに伴って、気持ちが安定しやすくなることです。これは親にもいえることで、普段一緒にいられない時間帯の子どもの様子を見て、温かい気持ちになったり、いつも以上にいとおしさを感じたりする人もいるでしょう。また、お互いのアタッチメント(親子間の精神的な絆)も強まることが考えられます。
基本的には、一緒にいることでのメリットの方が多いと思いますが、逆に子どもの悪い面も多く見えて、イライラしてしまったり、煮詰まってしまったりして、親が子どもを普段以上に怒鳴りつけてしまうこともあるかと思います。また、子どもに関しては、特に小さいお子さんに多いと思いますが、休園が長引くことで、親といつも一緒にいる生活に慣れ、保育園や幼稚園の再開時に切り替えづらくなるケースも出てくると考えられます」
Q.親と子にとってのデメリットを解消・緩和するために求められる、親の意識・行動とは。
佐藤さん「今回のような事態は誰もが想定していなかったことで、それを強いられているため、普段やっていることを同じように行うのは難しい部分があります。親の過ごし方/子どもの過ごし方の双方において、完璧にやろうとすると、結果的にやるべきことができなくてイライラしたり、自己嫌悪に陥ったりしてしまうので、『できる範囲のベスト』を目指すことがデメリット解消につながると思います。
また、子どものデメリットで『保育園や幼稚園への復帰』について先述しましたが、少しでもスムーズに切り替えができるよう、休園中はリズムある生活を心掛け、だらだらしないことも大事になってきます」
Q.最近はオンライン上で、友人やその子どもたちとビデオ通話をつなぎ、画面上で子どもの相手をしたり、してもらったりするオンライン育児が話題になっています。こうした育児やコミュニケーションの方法について、どう思われますか。
佐藤さん「非常にいいと思います。今回の事態で、日々の生活が制限される場面も多くありますが一方で、今回のようなことがなければ気付けなかったことも多々あります。その一つがオンライン育児です。
これがもし、20~30年前に起こっていたら、それこそ閉鎖的な生活を強いられていたと思いますが、今はオンライン越しでも友達とつながって、遊んだり話したりすることができます。大人の間でも『オンライン飲み会』が流行しているようですが、オンライン育児は子どもたちにとっても、いい気分転換になると思います。ママも交代で子どもを見つつ、家事をこなすこともできるでしょう。
こういう時期だからこそ、人は人とのつながりを求めるものですし、今回の事態が新たなつながり方や遊び方を知り得る機会になったことは確かです。オンラインであれば距離は関係ありませんので、ゴールデンウイークに帰省できずに会えなかったおじいちゃんやおばあちゃん、遠くに引っ越してしまった友達など、普段なかなか会えない人たちへとその輪を広げるのもいいアイデアだと思います」
Q.オンライン育児を行う際に親が注意するべきこと、やってはいけないNG行為とは。
佐藤さん「やはり、めりはりが大事になってくると思います。例えば、お昼寝の時間があるのにそれをスキップして、友達と午後ずっとつなげたままにしたり、食事の時間を考えずにだらだらと話したりすると、どちらかが負担に感じることも出てくるでしょう。『○曜日の○時から○時まで』とだいたいの時間を決めて行い、子どもたちの生活リズムを崩さないようにするのが大事だと思います」
Q.今後も当面、新型コロナの影響下での生活は続くと予想されます。オンライン育児を上手に取り入れるためのポイントや毎日の育児についてのアドバイスをお願いします。
佐藤さん「自粛生活が続き、特に、小さいお子さんを育てている家庭は閉鎖的な生活で困っていることも多いと思います。オンライン育児は節度を持って行えば、親子双方にメリットがあると考えられるので、ママ友同士で調節し、取り入れてみるのはいいアイデアだと思います。
また、先日出された専門家会議の提言で『新しい生活様式』の具体的な実践例が示されましたが、人との間隔を2メートル空け、外を散歩するのは堅実でいいリフレッシュ方法です。小さい子どもは特に、ごく普通の道でも多くの発見をしていくもの。人が集まりやすい公園はあえて避け、人通りの少ない場所を散歩するのもいい気分転換になると思います。
本当なら友達と公園で遊びたいのが本音でしょうが、今は友達とはオンライン上で会い、外の空気は家族だけで、というのが賢明な過ごし方といえるでしょう」
(オトナンサー編集部)
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