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【賛否】わが子を「叱らない」「怒らない」親のスタンスに「何がダメなの?」の声…専門家が考える“懸念”

「叱らない」「怒らない」子育てについて、あなたはどう思いますか? ネット上で常に賛否が分かれている「叱らない」スタンスについて、子育ての専門家はどう考えるのでしょうか。

「叱らない」「怒らない」はアリなのか?
「叱らない」「怒らない」はアリなのか?

 わが子を「叱る」ことは難しいもの。子育て中の親なら、きっと誰もが一度は「叱り方」について悩んだことがあるでしょう。一方、「叱らない」「怒らない」スタンスの子育てを行っている親も一定数いるようですが、ネット上では「まったく叱らないなんてできるの?」「叱らないって逆に難しくないか」「絶対に叱った方がいいと思うけど…」「親が子どもを叱らない、怒らないってアリなん?」といった否定的な声が上がる一方で、「いいと思う」「叱らない方がいいよね」「何がダメなの?」など肯定的な声も一部あり、常に賛否が巻き起こっています。

「子どもを叱らずにいると、どんなふうに育つんだろう」と関心を持つ親もいるようですが、子育てアドバイザーの佐藤めぐみさんは「『叱らない』『怒らない』が何を指すのかで、メリットもデメリットも変わってくる」と指摘します。「叱らない親」「怒らない親」に育てられた子どもはどのように成長するのか――。専門家による見解と“懸念”です。

“王子さま化”、“王女さま化”することも

 子育てにおいて、親はなぜ子どもを叱るのか、怒るのか。これはどちらにおいても、目の前の子どもの行動に満足がいっていないからです。

 しかし広辞苑で調べてみると、「叱る」と「怒る」には違いがあることが分かります。「叱る」とは「(目下の者に対して)声をあらだてて欠点をとがめること」、「怒る」とは「激して気があらだつこと」と書いてあります。

 子育てにおいても、この両者はよく比較されることがありますが、そこでも違いが見られ、「叱る」はより望ましい行動に導くという指導の色味が強いですが、「怒る」はただ親が子どもへの不満を感情的にぶつけているに過ぎません。目の前のよくない状況を改善、解決したいという思いは同じであっても、行われていることは違うわけです。

「叱らない」「怒らない」という子育てが、もし、子どもがよくない行動を取ったときにも“大目に見る”というやり方であれば、多くの場合、成長とともに親が手に負えなくなっていきます。

 小さいうちは、たとえ好き放題やったとしても、親が「まぁ何とかなる」と思える範囲で収まるかもしれませんが、4~5歳にもなれば行動範囲が広がり、できることも増えてきますから、好き放題のままだと親が完全に振り回されてしまうのです。その段階で、「我慢が苦手」とか「気持ちの抑制ができない」などの悩みが増え、家庭の中で“王子さま化”、“王女さま化”してしまうことも少なくありません。

 一方で、「叱らない」「怒らない」という子育てが、“親が感情を荒げない”という意味でなされているのならば、子どもは親から傷つく言葉を言われることもありませんし、怖い思いもしないので、それはメリットといえます。

 このように、「叱らない」「怒らない」が、“何でも大目に見ること”を指すのか、“感情的な穏やかさをキープすること”を指すのかで、メリットもデメリットも変わってくると思います。感情を荒らげずに、でも伝えるべきことは伝えられているのであれば、メリットばかりといえるでしょう。

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佐藤めぐみ(さとう・めぐみ)

公認心理師(児童心理専門)

ポジティブ育児研究所代表。育児相談室「ポジカフェ」主宰。英レスター大学大学院修士号(MSc)取得。オランダ心理学会(NIP)認定心理士。現在は、ポジティブ育児研究所でのママ向けの心理学講座、育児相談室でのカウンセリング、メディアや企業への執筆活動などを通じ、子育て心理学でママをサポートする活動をしている。著書に「子育て心理学のプロが教える 輝くママの習慣」(あさ出版)など。All About「子育て」ガイド(https://allabout.co.jp/gm/gp/1109/)を務めている。公式サイト(https://megumi-sato.com/)。

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