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【賛否】わが子を「叱らない」「怒らない」親のスタンスに「何がダメなの?」の声…専門家が考える“懸念”

大事なのは「子どもを導けているか」

「叱らない」「怒らない」子育ては「アリ」なのか、それとも「ナシ」なのか……と考えたことがある人も少なくないと思います。

「怒る」というのは、親が自分の感情を制御できない場面で起こるので、その視点で見れば「怒らない子育て」は“アリ”だと思います。感情をぶつけたとしても、基本的には現場の改善にはならず、多くの場合、子どもに反抗され改悪してしまいます。さらには、子どもに対し、「困ったときは相手に怒鳴り散らせばいい」という誤った手本を示していることになります。

 次に「叱らない子育て」について、単純にアリかナシかとは言い難く、その中身によってどちらにもなり得ると思います。

 もし、「叱る」が辞書的に「声をあらだてて」なされるのであれば、「怒る」と何ら変わりません。多くの人が「叱らない方がいいよね」となるのは、「叱ること=強い言動」というイメージがあるからです。

 しかしそれは、感情があらわなのがよくないのであって、淡々と子どもを導く叱り方であれば必要なことです。子どもが自然に世の中のルールを学ぶかといえば、そんなことはありません。誰かが教えてあげなければ学べないこともたくさんあります。それを叱りながら伝えていくのであれば、叱らない子育てだと学ぶべきことが学べないので、この解釈では「叱らない子育て」は“ナシ”になるかと思います。

「叱る/叱らない」「怒る/怒らない」は、個々人で言葉の意味の捉え方が違うものなので、その言葉だけで「叱った方がいいのか、叱らない方がいいのか」という問答をしてしまうと、誤解を招いてしまいます。

 大事なのは「子どもを導けているか」です。ここに親の感情が伴うと、つい余計なことを言ってしまったり、子どもが反抗したりと、「導き」から程遠くなってしまいます。子どもに「何がよくて、何がダメなのか」ということを、感情抜きで伝えるのはとても難しいものですが、目指す方向性はここにあります。

 そう考えると、「叱るべきか、叱らぬべきか」で迷う以上に、親自身の気持ちのコントロールをどうやりくりしていくかが、バランスを取る上での一番のポイントといえるかもしれませんね。

(オトナンサー編集部)

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佐藤めぐみ(さとう・めぐみ)

公認心理師(児童心理専門)

ポジティブ育児研究所代表。育児相談室「ポジカフェ」主宰。英レスター大学大学院修士号(MSc)取得。オランダ心理学会(NIP)認定心理士。現在は、ポジティブ育児研究所でのママ向けの心理学講座、育児相談室でのカウンセリング、メディアや企業への執筆活動などを通じ、子育て心理学でママをサポートする活動をしている。著書に「子育て心理学のプロが教える 輝くママの習慣」(あさ出版)など。All About「子育て」ガイド(https://allabout.co.jp/gm/gp/1109/)を務めている。公式サイト(https://megumi-sato.com/)。

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