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「離婚」で悩んでいませんか? よくある質問に弁護士がアンサー

4.よくある親権の疑問

Q.そもそも親権って何ですか?

A.民法は「未成年の子は親の親権に服する」(民法818条)とし、親権の内容として以下を挙げています(民法820条~824条)。

1.監護および教育の権利義務

2.居所(住所)の指定

3.懲戒

4.職業の許可

5.財産の管理および代表(代理)

 このうち、1~4が「身上監護権」(単に監護権とも)、5が「財産管理権」と言われるものです。身上監護権は具体的には、子どもを自分の手元に置いて育てることができる権利のことで、一般に「親権を取りたい」といった時にイメージされる権利です。ちなみに、「懲戒権」は、いわゆるしつけをする権利とでも言えますが、行き過ぎたしつけが許されないことは論を待ちません。

Q.親権者はどうやって決まるのですか?

A.夫婦の結婚期間中は「共同親権」ですが、民法819条は、離婚に際して一方を親権者にしなければならないと定めているため、離婚後はいずれかの「単独親権」となります。

 親権者は調停によって決定しますが、協議が整わない場合、親権者を指定するための審判に進み、裁判所が親権者を指定することもあります。離婚そのものも争われている場合は、離婚訴訟に進むことになり、裁判所がいずれか一方を親権者に指定します。

 親権者指定の判断基準は一般に、どちらの親が養育した方が子どもの利益にかなうかという点に尽きます。具体的には、以下のような要素が判断材料となります。

<現状の尊重>

 親権を巡って争いになる場合には当然、「しっかりとした養育体制を組みます。仕事もセーブして子どもと過ごす時間を増やします」といった主張がなされます。しかし、親権を取りたい親はそう主張するのが当然であり、裁判では、不確定な将来の話よりもこれまでの監護状況が何よりも重視されます。

 子どもにとっても、より多く接していた親から引き離したり、環境を変えたりすることは望ましくないため、現状を尊重する傾向が強くなります。

<居住環境や経済状況など>

 現状が尊重される一方で、やはり客観的な状況を比較して、父母いずれの元で養育する方が子どものためになるか、という視点は欠かせません。現状の監護に問題がある場合は、この視点について詳細に検討がなされます。

<母性優先>

 子どもが授乳中の場合は、よほどの事情がない限り、母親と子どもを分離することは好ましくないと考えられます。しかし、父親が育児や家事において相応の分担をしている場合は、幼児であっても父親に慣れ親しんでいることも十分にあり得るため、最近は必ずしも当然視されません。

<子どもの意思>

 子どもが15歳以上の場合は、裁判所はその意見を聞かなければなりません。しかし、子どもが幼い場合は、子ども自身が真意を話しているか不明なことも多く、どちらの親に養育させた方が子どものためになるか、という客観的な状況が重視される傾向にあります。

<面会への理解>

 父母が離婚した場合であっても、子どもにとっては、親権者でない親も親であることに変わりはなく、その愛情を受けて育つことはとても重要なことです。したがって、このような面会交流の意義を理解し、これに寛容な親の方が親権者に指定される可能性が高くなります。

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高井信也(たかい・のぶや)

高井・村山法律事務所弁護士

交通事故や労働問題(残業代、不当解雇、労災)、不動産、離婚・相続、企業の相談などを幅広く取り扱う。特に交通事故と労働事件は、合わせて年間30件以上を扱うなど力を入れている。高井・村山法律事務所(http://law-tm.jp/)。

村山圭一郎(むらやま・けいいちろう)

高井・村山法律事務所弁護士

行政事件や不動産事件(建築関係紛争)、離婚、相続などを幅広く取り扱い、「みんなの弁護士207人 首都圏版」(有限会社南々社)にも掲載。困っている人、悩んでいる人の心に寄り添うことを心掛ける。高井・村山法律事務所(http://law-tm.jp/)。

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